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木村2024「戦利品は黙って吠える」 [雑]

木村 聡 2024「不謹慎な旅-67 戦利品は黙って吠える -石獅子と御府-」『週刊 金曜日』第32巻 第2号 1456号*(2024. 1. 19):34-37.

「価値ある貴重な文化財が盗まれて国外に流出した。金儲けを狙う盗賊ではない。国家が戦争などに乗じて行なう略奪だ。博物館や美術館に展示された「戦利品」の適切な居場所とはどこか。中国から持ち去られた、ある略奪文化財の風景を訪ねた。」(リード文:34.)

山縣有朋記念館と靖国神社にある遼寧省 海城市 三学寺の石獅子と皇居にある旅順の鴻矑井碑が4ページにわたって紹介されている。

*表紙の「1456号」という数字は『週刊 金曜日』となってからのいわば「発行号数」で、裏表紙の前身媒体を含む「通巻 1478号」とは意味が違うとのこと。ややこしい。

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寒中見舞 23-24 [雑]

タレント事務所の性被害、女性歌劇団のいじめ、大学体育会の薬物汚染、軍隊内の悪ふざけと称した性的嫌がらせ、新興宗教による家庭崩壊と政治との癒着、政権与党の不正な政治資金問題など、いずれもマスコミを含めて一部の人たちには知られていた事柄でした。しかしそのことが世の中に広く知られることはありませんでした。問題が明るみになったためになされた記者会見や取材者に対する応対などを通じて、それぞれの組織の体質がより一層示されました。
 こうした事を行えば問題になるということぐらい良識ある大人であれば誰もが分かっているはずなのに、問題が尽きることはありません。なぜでしょうか。まさかばれるとは思っていなかった? それもあるでしょうが、むしろこうした一般的には「悪」とみなされる事柄に対する魅力・誘惑に抗うことができなかったということなのでしょう。そうした悪に対する抑止策や予防のために、さまざまな規則や法律が制定されているのですが、一定の抑止効果はあっても本質的な解決には程遠いようです。むしろ様々な種類・分野でのいじめ、差別、ハラスメントは、量的にも質的にも深まっているようです。

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寒中見舞2022 [雑]

コロナ禍も2年が経過しました。
こちらよりもあちらの方が上手であるということを、多くの人が何となく感じているのではないでしょうか。
そろそろコロナ以前がどんな風だったかも朧げになりつつあり、ウィズ・コロナがこれからもしばらく続くのではないかと思わざるを得ません。
どうやら歴史の時代区分として
2019年以前と2020年以後で大きく区切られることになりそうです。

自然の脅威に対して人間が出来ることは、ほんの僅かです。
台風やハリケーンの進路を変えることは出来ません。
進路すら、大まかな予想円で示すことしか出来ません。
火山の噴火を防ぐことも出来ません。
ましてや人間が太平洋プレートやフィリピン海プレートの沈み込みを止めることは出来ないので、予想される南海トラフ地震の発生を止めることは出来ません。

出来ることは、そうした破局的な状況が予想される場所(日本列島全体が地震帯です)に制御不能となるような危険な施設を設置しないことです。
設置してしまった施設は、一刻も早く撤去することです。
大地が揺れる度に「原子力発電所に異常はありません」といった知らせを聞かされる状況を終わりにすることです。

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90年前の「八王子事件」 [雑]

長さ7cmほどの小型で透明なガラス瓶が出土した。
表面に「助川小児科院」という文字が陽刻されている。
関係者の協力も得ながら、当該医院については1931年の八王子市街図によって「助川医院」として八王子市本町に所在していたこと、「助川 捨次郎」という医師の名前も職業別一覧で確認できた。

また同時に長さ11cmほどの中型で「八王子相互診療所」と陽刻された透明なガラス瓶が出土していた。
こちらは、なかなかその所在が確認できずに途方に暮れていた。
ところが試しに「八王子相互診療所」で検索したところ、「八王子事件」という項目中の「八王子相互診療組合診療所」がヒットして、当初は何の関係もないと思われた2つの薬瓶について、思わぬ展開を見せることになった。

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寒中見舞2021 [雑]

コロナに打ち勝つ、あるいはコロナを克服するといったことが言われます。
しかし放射能汚染に打ち勝つとか大地震を克服するということは聞きません。
相手がウイルスという生命体だからでしょうか? たとえ効果的なワクチンが開発されたとしても、新たなウイルスが必ずや現れてくるでしょう。赤痢やペストといった過去の感染症を絶滅することができたとしても、感染症そのものに打ち勝つことはできそうにありません。
私たちに出来ることは、せいぜいその都度新たな事態に対処していくことぐらいです。
今回求められた対処の仕方と言えば、出来るだけ出歩かず、マスクをして、他人との距離をとって、頻繁に手を洗って、会話は控えめにといったことでは、確かに経済は回らないでしょう。

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メルケル(三島訳)2020「アウシュヴィッツ=ビルケナウ財団10周年記念式典にあたって」 [雑]

アンゲラ・メルケル(三島 憲一訳)2020「アウシュヴィッツ=ビルケナウ財団10周年記念式典にあたって」『世界』第931号:143-151.

2019年12月6日、ポーランド国立オシフィエンチム博物館にて犠牲者の生前の肖像写真群を背景に、生還者および犠牲者の縁故者を前にしてなされた、およそ15分間のスピーチ
「下手人たちをはっきり名指すことが重要なのです。私たちドイツ人は犠牲者に対して、そして私たち自身に対して、そうする責任があるのです。犯罪を記憶し、下手人たちをはっきり名指し、犠牲者たちの尊厳にふさわしい哀悼の心を保つこと、この責任に終わりはありません。この責任にはいかなる変更の余地もありません。この責任は、私たちの国と不可分に結びついています。この責任の自覚は、私たちのナショナル・アイデンティティの確固たる構成要素なのです。啓蒙された自由な社会、民主主義と法治国家という自己理解の確固たる一部なのです。」(144.)

元のドイツ語が何であるか確認できないが、「下手人」という日本語は語感がキツイが(動画の日本語字幕では「犯罪者」)、国家の責任者が自国の犯した過去の犯罪行為に対して、加害者の責任および後継者である自らの責任について明言し、かつそのことが現在の国家において「確固たる構成要素」であるとする明確な意思表示が、世界の共通理解(グローバル・スタンダード)である。

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寒中見舞2020(ロゼッタ・ストーン・ヘンジ) [雑]

*ロゼッタ・ストーン:紀元前196年に作られた古代エジプトの石碑。プトレマイオス5世の勅令が3種類の文字で刻まれている。1799年フランス軍によって発見されて、1802年イギリスに運ばれた。イギリス博物館所蔵。
*ストーン・ヘンジ:イギリス・ロンドンからおよそ200km西方のソールズベリー平原に紀元前25002000年に作られた先史時代の環状列石。直径100mほどの円形状の直立巨石群と土塁によって構成される。

 

 エジプトで作られた「ストーン」がイギリスに運ばれました。エジプトの「ストーン」がイギリスに運ばれたのは、フランスとイギリスの植民地争奪の過程においてです。イギリスにある「ストーン」は、エジプトに運ばれることもなく、今も作られた場所にあります。エジプトの人たちは、昔も今もイギリスにある巨石を運び出そうとは思わないでしょう。しかしもし運び出されていたら、どうでしょうか。イギリスの人たちは、元の場所に戻すように返還を求めるのではないでしょうか。
 両者は作られた時代も異なるし、個体と群体という違いもあります。しかしそれぞれが生み出された地で暮らす人たちが「もの」に寄せる思いは変わらないでしょう。
 私たちが暮らす日本を含むかつての植民地主義帝国には、そうした品々があちこちにあります。それらをどうするか、そのままにしておくのか、それとも元あった場所に戻すのか、すべては私たちの「こころ」次第です。

「見えるものは一時的ですが、見えないものは永遠に存続します。」
                  第2コリント 第4章 第18節

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寒中見舞2019 [雑]

寒中お見舞い申し上げます。

結果が良ければ、それで良い。内容は問わない。
そんな風潮が蔓延しているような気がします。
そんなことを考えさせられたのは、ロシアで開催されたサッカー・ワールドカップ日本代表第3戦の対ポーランド戦での出来事でした。

0-1で負けているにも関わらず、得失点差や警告数の多少の違いによって、このまま何も起こらなければ次のステージに進めると分かって、日本の監督はただ時間を費やすためだけに、選手たちに自陣でのボール回しを指示したのでした。

私は監督の指示に逆らって戦う姿勢を示す選手が誰一人としていなかったことを、心より残念に思います。

 

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金子 文子(1903-1926) [雑]

「「君らと妥協する」「改心して社会に順応して生きる」今となって君らと妥協ができるならば、私はね、社会にいた時、すでに妥協していたはずです。君らのお説教は聞かなくともそのくらいの知恵はありました。このくらいのことは覚悟の上です。なにとぞご遠慮なくご自由に。私もね、実は今一度出たいのです。でそうするためには「改心しました」と頭を下げて一札入れさえすればうまく行くことは知っています。
だがね、将来の自分を生かすために現在の自分を殺すことは、私は断じてできないのです。
お役人方君らの前に改めて勇敢に宣言しましょう。
「私はね、権力の前に膝折って生きるよりは、むしろ死してあくまでも自分の裡に終始します。それがお気に召さなかったら、どこなりと持って行って下さい。私は決して恐ろしくないのです。
これが、昔も今も変わらぬ私の心持ちであります。」「第三回被告人訊問調書(1924年1月22日)東京地方裁判所」(鈴木裕子編2006『[増補新版]金子文子 わたしはわたし自身を生きる』梨の木舎:304.)

1923年の朝鮮人・中国人大量虐殺事件の要因を一緒に起訴された朝鮮人被告に負わせるために、日本人被告を何とか改心させようとする訊問に対する応答である。
この時、被告はわずか21才。こうしたことが何度も繰り返される。

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緑川東問題2018(その6) [雑]

どうも動きがないようである。
皆さまのご助力が必要です。
別種の「クラウドファンディング」である。

【東京国立博物館宛 公開質問状】

1.展示No.147の説明文にある「炉跡を挟んで」という文言は、どのような根拠に基づいているのか、ご説明下さい。もし説明できないのでしたら、どのような経緯でこのような文言が記載されるに至ったのか、その経緯についてご説明下さい。

2.本来借用資料に関する説明文は借用先の了解の下で記されているものと理解していますが、どのような了解が得られているのでしょうか? もし了解が得られていないのだとしたら、そうした在り方が東京国立博物館として通常の在り方なのかどうかについて、ご説明下さい。

とりあえず…

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