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長井2021「実験考古学の展望と指針」 [論文時評]

長井 謙治 2021「実験考古学の展望と指針」『愛知学院大学 文学部紀要』第50号:19-40.

「「第2……」とは筆者のアイデアによるものではない。五十嵐彰が「第2考古学」として現代と考古学の関係態を分析している(2nd-archaeology.blog.ss-blog.jp)。ここでは、「次なる」という意味において、五十嵐のプライオリティを尊重しつつ、実験考古学にも用いた。ちなみに、第2実験考古学が生れてきた思想的背景には、第2考古学としての学問的思考という歴史が関係していると考えたことが、この用語を援用した理由である。」(36.)

本ブログまで言及して頂き、有り難いことである。

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野田1998『戦争と罪責』 [全方位書評]

野田 正彰 1998『戦争と罪責』岩波書店

「いつしか私は、侵略戦争を直視せず、どのような戦争犯罪を重ねたかを検証せず、否認と忘却によって処理しようとする身構えが、いかに私たちの文化を貧しくしてきたか、考察してみたいと思うようになっていた。それも、罪の自覚と共に戦後を生きてきた少数者の精神を通して、多数者の影を浮き上がらせたいと考えたのである。」(11.)

「…戦争にかかわった日本人の罪の意識を掘りおこし、その分析を精緻に行うことによって、私たちは二十世紀の意味をアジアの人々に伝えられる。今なお残された罪の意識こそは、私たちの貴重な文化であり、罪の意識を抑圧してきた日本文化のあり方を通して、私たちは自分の内面の顔を知ることができる。」(13.)

何度読んでも、その度に新たな気付きを得ることができる稀有な本である。
それは、本書が真理の一端に触れているからだろう。

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俵2021「文化財の「返還」とはなにか」 [論文時評]

俵 寛司 2021 「文化財の「返還」とはなにか -世界史の中のベトナム文化財返還をめぐる覚書-」『港市・交流・陶磁器 -東南アジア考古学研究-』菊池誠一先生・坂井隆先生退職記念論文集編集委員会:143-152.

「…日本国内の民間団体である「韓国・朝鮮文化財返還問題連絡会議」は、韓国政府に対する意見表明(2013)や大田高等法院への要望書提出(2018)、釜山ワークショップ(市民対話集会)(2018)など積極的な活動を続けており、2019年には公開シンポジウム「世界史の中の文化財返還問題を考える」が東京で開かれ、筆者も第Ⅱ部「対馬盗難仏像返還問題についての考察」に報告者として出席し、その中でベトナムの状況についてコメントを求められた経緯がある。すなわち本稿は、この時の問いに対する回答として執筆したものである。」(143.)

いろいろな場面でお世話になっている。丁寧な紹介を頂き、感謝である。

「…本稿では第一に、ベトナムの文化財/文化遺産の歴史的背景としてベトナムのフランス植民地化と「インドシナ・コレクション」の形成について概略を述べる。第二に仏領インドシナ時代ベトナムの考古資料「ヤンセ・コレクション」を例として海外に分散し保管されている植民地時代のコレクションの持つ歴史性と研究の可能性について考える。第三に、ベトナムの「五戸寺梵鐘返還運動」を例として現代史の中での文化財返還の意義を振り返る。最後に、近年のフランスのアフリカ文化財返還に関する動向を紹介しながら文化財の「返還」の持つ意味について考えたい。」(144.)

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山田2021「アカデミック・マインド」 [論文時評]

山田 しょう2021「アカデミック・マインド -研究捏造の心理学-」『旧石器考古学』第85号:3-8.

「アカデミック・マインド」、訳せば「学問をする心構え」といった辺りであろうか。

「2000年11月の前期旧石器遺跡捏造の発覚からはや20年を迎えた。四半世紀にわたり、善意のアマチュア考古学者を装いつつ捏造を続けた藤村新一は特異な人物に思えるかもしれない。しかし、その後発覚した他分野における研究不正や、疑わしい仕事をする研究者の例を参照すると、このような行為者の人物像には共通した特徴がある。それゆえ、同種の不正が考古学においても繰り返され得るものであることに注意を促したい。」(3.)

冒頭にマタイ書7章の聖句を引用しつつ、「終わらない悪夢」と題する文章である。
著者の危機感をひしひしと感じることができる。
今から20年前は、ちょうど国分寺市で大規模な旧石器<遺跡>の調査に携わっていた頃であった。隣県の秩父市にまで調査の成果が及び、身近に感じてもいた。発覚のニュースに接して、もし調査中の最下層に石器を差し込まれていたら、どうなっていただろうかと背筋が寒くなった覚えがある。

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90年前の「八王子事件」 [雑]

長さ7cmほどの小型で透明なガラス瓶が出土した。
表面に「助川小児科院」という文字が陽刻されている。
関係者の協力も得ながら、当該医院については1931年の八王子市街図によって「助川医院」として八王子市本町に所在していたこと、「助川 捨次郎」という医師の名前も職業別一覧で確認できた。

また同時に長さ11cmほどの中型で「八王子相互診療所」と陽刻された透明なガラス瓶が出土していた。
こちらは、なかなかその所在が確認できずに途方に暮れていた。
ところが試しに「八王子相互診療所」で検索したところ、「八王子事件」という項目中の「八王子相互診療組合診療所」がヒットして、当初は何の関係もないと思われた2つの薬瓶について、思わぬ展開を見せることになった。

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『向ノ原遺跡 第3次調査』 [考古誌批評]

2020『向ノ原遺跡 第3次調査 -都立高井戸公園の整備に伴う調査-』東京都埋蔵文化財センター調査報告 第358集

接合資料を重視する接合主義の観点から読む。
結論を先に記すならば、いろいろ記されていないことが多い、ということになろう。

「接合資料とその構成遺物については、以下の方式で番号を付した。「石器群-接合資料番号-個体-剥離順」
また、折れ面接合した資料には打点に近いほうから、「①、②・・・」と番号を付した。例えば、1群、接合資料1、個体A、剥離順1の資料の場合「1ー1-Aー1」となり、剥離順1が2点の石器によって折れ面接合した剝片で打点に近い資料であったとすると「1-1-Aー1①」となる。」(40.)

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タグ:考古誌 接合
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1919年 「宣言書」 [学史]

「私たちは、私たちの国である朝鮮国が独立国であること、また朝鮮人が自由な民であることを宣言する。
このことを世界の人びとに伝え、人類が平等であるということの大切さを明らかにし、後々までこのことを教え、民族が自分たちで自分のことを決めていくという当たり前の権利を持ち続けようとする。
5000年の歴史を持つ私たちは、このことを宣言し、2000万人の一人ひとりがこころを一つにして、これから永遠に続いていくであろう、私たち民族の自由な発展のために、そのことを訴える。
そのことは、いま世界の人びとが、正しいと考えていることに向けて世の中を変えようとしている動きのなかで、一緒にそれを進めるための訴えでもある。

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加藤2020「アイヌ民族と先住民考古学」 [論文時評]

加藤 博文2020「アイヌ民族と先住民考古学」『世界と日本の考古学 -オリーブの林と赤い大地-』常木晃先生退職記念論文集:533-544.

「アイヌ民族の遺骨返還問題において最も影響を受けるのは、人骨を直接研究資料として扱う自然人類学者である。しかし、考古学者にとっても墓や埋葬事例は過去の社会復元をおこなうための重要な研究資料である。アイヌ民族の祖先の遺骨や副葬品の返還問題は、単に現在、大学や博物館に保管されている遺骨や副葬品に留まらない。ここで問われている問題の本質は、研究と先住民族との関係性であり、調査過程の手続き論を含んでいる。つまり、検討されるべきは過去に起きた問題ではなく、これからの調査研究のあり方に関わる問題である。」(537.)


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五十嵐2021b「練馬区 比丘尼橋遺跡C地点」 [拙文自評]

五十嵐2021b「練馬区 比丘尼橋遺跡C地点」『東京都遺跡調査・研究発表会46 発表要旨』:6-9.

例年行われている東京都遺跡調査・研究発表会も、今年は口頭発表はなく紙上発表のみである。
2014年から2020年まで足掛け7年にわたって行われた調査についての発表である。
担当者のセンスなのだろうか、表紙のデザインも垢抜けていて、嬉しい限りである。
但し分布図の挿図では二色刷りが認められず、やや分かりずらいのが残念である。

「遺物の平面分布については、一定の基準で集中部区分を行ない、石器分布について基準を満たさず集中部を形成しない資料については「石器集中部外出土石器」としました。石器集中部外出土石器のうち、加工石器を区分図として提示しました。集中部を形成しない散発的な出土状況ですが、礫資料分布図と重ね合わせてみると、その多くが礫集中部と重複しています。」(6.)

これだけ読めば何のことやら専門家以外には訳が分からないだろうから、少し基本的なところから説明してみよう。

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五十嵐2021a「石核とは何か」 [拙文自評]

五十嵐 2021a「石核とは何か -砂川モデルを問う-」『東京の遺跡』第118号:3-5.

「私たちが日常的に「石核」と呼んでいる存在形態は、石器資料の中でどのような位置を占めているのだろうか? こうした問いを深めることは、石器資料論の核心である。
「石核とは何か」を問うことは、日本の旧石器時代研究における砂川モデルの方法論的意義を問うことになる。」(3.)

「石核とは何か」
何とストレートな、そしてある意味で大上段な、しかし今まで誰も発することのなかった問いなのだろう。
誰もが言及しない極めて当たり前の事柄を、筋道立てて論じることが、今、求められている。
「石核が問題の核心である」(The core is the core of the problem)とは、我ながら驚くべき結論である。

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織田1990『システム論とフェミニズム』 [全方位書評]

織田 元子1990『システム論とフェミニズム』勁草書房

「実際問題としては、現代の男女関係を理解するのに、女性抑圧の起源までふまえて理解する必要はない。
「男が悪い、いや、女が悪い」という形で循環論に陥ったなら、個々の事例で議論するのをやめて、それらを包囲している大きな現実に、つまり、父権制社会とそのイデオロギーというコンテクストの位置から事態を眺めればよいのである。」(112.)

会議の休憩時間に喫煙所で子飼いの子分から聞かされた組織運営の愚痴を知り合いに話しているぶんには、これほど大きな問題にはならなかっただろう。
しかしプレスが入った公の場において、国際的なイベントを開催する一国を代表する組織の長が、自分の組織の女性は場をわきまえているが、他の女性はわきまえずに長々と発言すると非難する。
女は男よりも劣るというあからさまな価値観の表明である。
これでは、場をわきまえずに発言しているのは誰であるか明白であろう。

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全2017「「韓国文化財」形成過程に関する史的考察」 [全方位書評]

全 東園(ジョン ドンウォン)2017「「韓国文化財」形成過程に関する史的考察 -植民地期「朝鮮文化財」研究の成立と言説空間の形成-」博士学位論文(東京外国語大学)

序論
第1章:近代日本「学知」の朝鮮侵出
 第1節 東京帝国大学の海外学術調査と朝鮮半島
 第2節 八木奘三郎の「大韓帝国」調査 -「朝鮮文化財」調査の開始-
第2章:関野貞の「朝鮮文化財史」研究
 第1節 関野貞の学問的背景
 第2節 関野貞による「朝鮮美術(史)」研究の内容 -活字化された書物の分析を通して-
第3章:植民地期朝鮮における「朝鮮文化財」言説空間
 第1節 併合前、「朝鮮文化財」言説領域
 第2節 併合後、朝鮮総督府の行政空間における「朝鮮文化財」
第4章:植民地期朝鮮「博物館」という言説空間
 第1節 植民地期朝鮮における博物館の記録 -「李王家博物館」という言説空間-
 第2節 「朝鮮文化財」言説空間の拡大 -朝鮮総督府博物館の誕生-
 第3節 朝鮮総督府博物館の経営主体と所蔵品に関する考察
結論

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古谷2020『人類学的観察のすすめ』 [全方位書評]

古谷 嘉章 2020『人類学的観察のすすめ -物質・モノ・世界-』古小鳥舎

「1987年3月、アメリカ合衆国南西部、ニューメキシコ州のネイティヴ・アメリカン保留地で、「夕暮れの小雨の中、「弓の司祭」(a:pilha:shiwani)が、双児神「アハユーダ」(Ahayu:da)の二つの木像を、ズニ・プエブロの村を見下ろすメサの上にある祠に据えた」。この二つの木像は1880年代に白人研究者たちによって東部に持ち去られて、ワシントンにあるスミソニアン・インスティテューションの収蔵物となっていたものが、9年越しの交渉の結果、ようやくズニの地に返還されたものだった。研究者や博物館あるいは販売業者や愛好家によってネイティヴ・アメリカンの地から奪い去られたモノの「返還」(repatriation)を求める運動は、ズニの人々のアハユーダ返還を求める粘り強い交渉を嚆矢として、1990年の「アメリカ先住民墓地保護・返還法」(NAGPRA)の成立を経て、さらに広がりをみせてきた。この問題は、大英博物館にある「エルギン・マーブル」とよばれるパルテノン神殿の彫像・浮彫や「ロゼッタ・ストーン」など、必ずしも合法的ではない経緯で、それを生み出した土地から遠く離れた博物館に収蔵されているモノに対する返還要求へもつながっていく大問題であるが、…」(「41 朽ち果てるべき木像 -耐久性偏愛は普遍的ではない-」:136.)

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水ノ江2020『入門 埋蔵文化財と考古学』 [全方位書評]

水ノ江 和同 2020『入門 埋蔵文化財と考古学』同成社

「…どうも埋蔵文化財と遺跡は同義語であり、条文の内容や説明の仕方に応じて使い分けられていることがみえてきます。」(1-2.)

冒頭の説明であるが、同義語が条文の内容や説明の仕方に応じて、どのように使い分けられているのか、一向に見えてこないのは、読解力不足なのだろうか?

「埋蔵文化財の概念図」として和田2015『遺跡保護の制度と行政』から引用された図が示されているが、それによると地中の「遺跡=遺構の所在する範囲」がそのまま地表面に投影されて「埋蔵文化財包蔵地の範囲」とされているが、異なる時代の「遺跡=遺構の所在する範囲」が重複している場合にはその最大範囲が「埋蔵文化財包蔵地の範囲」とされるのだろうか?
すると包蔵地は複数の異なる遺跡で構成されているということなのだろうか?
冒頭からつまづく。

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2000「興奮対談 秩父原人に出遭った日」 [捏造問題]

栗島 義明・藤村 新一2000「興奮対談 秩父原人に出遭った日」『正論』第333号:250-260.

【リード文】
埼玉県秩父市郊外の尾田蒔丘陵の小鹿坂遺跡から石器三十点とともに見つかった生活遺構は、約五十万年前(前期旧石器時代)の原人の住居跡の可能性が高い。そうだとすれば、有名な北京原人よりさらに年代をさかのぼる世界最古の、しかも原人は洞窟で生活していたという定説を覆す人類学史上の大発見だ。遺構を発掘した名コンビがその興奮を語る。

「  やりましたね。秩父で発掘調査を行うきっかけはどんなことから…
藤村 栗島さんは十年ぐらい前から秩父で調査を続けているのですが、以前、東北の遺跡の見学に来たとき、「手伝ってくれないか」と頼まれたんです。秩父には古くていい土があるという話でした。昨年五月、埼玉県埋蔵文化財調査事業団で東北の旧石器について話をする機会があり、「秩父に行こう」と誘われまして「まあいいかな」と思って、秩父に行ったんです。」(250.)

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タグ:発掘 捏造
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寒中見舞2021 [雑]

コロナに打ち勝つ、あるいはコロナを克服するといったことが言われます。
しかし放射能汚染に打ち勝つとか大地震を克服するということは聞きません。
相手がウイルスという生命体だからでしょうか? たとえ効果的なワクチンが開発されたとしても、新たなウイルスが必ずや現れてくるでしょう。赤痢やペストといった過去の感染症を絶滅することができたとしても、感染症そのものに打ち勝つことはできそうにありません。
私たちに出来ることは、せいぜいその都度新たな事態に対処していくことぐらいです。
今回求められた対処の仕方と言えば、出来るだけ出歩かず、マスクをして、他人との距離をとって、頻繁に手を洗って、会話は控えめにといったことでは、確かに経済は回らないでしょう。

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タグ:寒中見舞
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山田1968「八・一五をめぐる日本人と朝鮮人の断層」 [論文時評]

山田 昭次 1968「八・一五をめぐる日本人と朝鮮人の断層」『朝鮮研究』第69号:4-12.(2005『植民地支配・戦争・戦後の責任 -朝鮮・中国への視点の模索-』創史社所収)

1946年7月13日付け『朝日新聞』社説「朝鮮人の取扱について」
「日本の統治下にあつた朝鮮が、戦争中わが戦力増強のため、いくたの犠牲を拂つたことや、内地在留のかれらが、軍需生産部門に厖大な労働力を提供したことについて、われらは感謝するものである。しかし終戦後の生活振りについては、率直にいつて日本人の感情を不必要に刺戟したものも少なくなかつた。たとへば一部のものが闇市場に根を張り、物資の出廻りや物価をかき乱したことなど、それである。(中略)
マツクアーサー司令部の意向としては、残留する朝鮮人はわが警察権の行使を拒否することが出来ないことになつている。しかしながら、日本の警察當局が、個々の事件の場合において、朝鮮人に対して、力を十分に発揮出来ないのが現状である。その結果、時にはこれら朝鮮人の行動が、戦争中融和してゐた日鮮人間の感情を疎隔することの生ずるのを悲しむものである。われらは残留朝鮮人が日本の再建途上の困難を理解し、これに協力することを期待してやまないものである。」(245.)

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中生1997「民族研究所の組織と活動」 [論文時評]

中生 勝美 1997「民族研究所の組織と活動 -戦争中の日本民族学-」『民族学研究』第62巻 第1号:47-65.

「単に戦争協力を「悪玉」として批判することはたやすい。しかし過去の行状を断罪することは、なんら生産性がないばかりか、また批判する側の自己正当化に説得力もない。日本における民族学の過去を直視して、過去の研究者が、戦時中にどのような活動をしていたのかという事実関係を継承することが、民族学の展望を開くのではないだろうか。」(48.)

1933年に設立された国策研究会では、1940年に民族問題委員会が設置された。
江上 波夫・小山 栄三・松本 信広が委員として参加していた。
こうした委員が中心となって民族研究所が設立されたという。
国策研究会が1943年に主催した大東亜問題調査会の分科会に南方諸民族事情研究会があり、松本 信広・清野 謙次・三吉 朋十が参加していた。
1943年1月16日付け勅令で民族研究所が設立された。

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北大人骨事件真相究明緊急会議編1999-2010『歴史の真実Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ』 [全方位書評]

とりあえず全5分冊の内容を紹介する。

北大人骨事件真相究明緊急会議 編 1999『歴史の真実Ⅰ 北大人骨事件と侵略戦争責任』労働者共闘・労働運動活動者評議会合同事務局 発行、A5版・561頁
A 北大民族差別・人骨事件と経過
Ⅰ 「北大謀略」疑惑の発生と増幅
Ⅱ 朴仲辰関連調査の作為性
Ⅲ 諸民族の分断と各個撃破の策動
Ⅳ 農民革命軍指導者遺骸奉還(96年5月)
B 真相究明、史実と事実の確認について -「韓国東学党…」と墨書された損壊のある頭骨について-
Ⅰ 朴仲辰
Ⅱ 社会教育家・佐藤政次郎調査に関する疑惑
Ⅲ 北大の歴史的性質
Ⅳ 吉崎昌一北大人類学教授
補論 新渡戸稲造など

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稲田2020「スケールダウン・イノベーションと神子柴文化」 [論文時評]

稲田 孝司 2020「スケールダウン・イノベーションと神子柴文化」『季刊 考古学』第153号:17-21.

「ここでは新石器時代あるいは縄文時代における土器出現の意味をいまいちど考え、神子柴文化の歴史的な位置とその意義について理解を深めてみたい。石器と土器の関係、この二つの異質な要素の関係こそが縄文時代開始期の歴史を読み解く鍵だ。」(17.)

ということで、「石器と土器のプラス・マイナス」へと話しは続く。
言及されているのは、石器製作を引き算型造形、土器製作を足し算型造形とした小林1994『縄文土器の研究』および2008『縄文の思考』である。

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