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石原2020『<沈黙>の自伝的民族誌』 [全方位書評]

石原 真衣 2020『<沈黙>の自伝的民族誌 -サイレント・アイヌの痛みと救済の物語-』北海道大学出版会

ある人から「いいよ」と勧められて読んだが、良かった。

「遺骨たちは、「私」をつかまえて、離さない。そして、叫び続ける!
「忘れるな!」。「沈黙から言葉を紡げ!」。
「そして癒すのだ!」。「癒すのだ!」。「癒すのだ!」。
遺骨たちの叫びは、日毎に大きくなる。朝も、昼も、夕も、夢のなかでも、希望のときも、絶望のときも。私は、とうとう、遺骨たちの叫びから逃れられなくなる。歴史が身体に刻印されていない私が、物語を取り戻すためには、手がかりが必要だった。その手がかりとは、まぎれもなく、私の「痛み」だった。そして、それは叫び続ける遺骨たちの「痛み」でもあった。」(4.)

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東京法令出版2022「文化財のあるべき場所は…」 [全方位書評]

東京法令出版2022「【対立・協調】文化財のあるべき場所は…」『問いからはじまる歴史総合』:80-81.

2022年度から高校の必修科目として「歴史総合」が導入された。
従来の「日本史A]と「世界史A」を統合した科目で、18世紀以降の近現代を重視しているようである。
その副教材(資料集)における一項目である。

B 近代化と私たち (4) 近代化と現代的な諸課題
メイン・クエスチョン:なぜ文化財の所有権をめぐって対立が起きているのだろうか?
キーワード:帝国主義、植民地、文化財

① 博物館に寄せられる主な返還要求では、以下の6つの事例が挙げられている。
 ロゼッタ=ストーン:エジプト→大英博物館(イギリス)
 ネフェルティティの胸像:エジプト→ベルリン新博物館(ドイツ)
 パルテノン=マーブル:ギリシア→大英博物館(イギリス)
 ミロのビーナス:ギリシア→ルーブル美術館(フランス)
 モアイ像:チリ→大英博物館(イギリス)
 楽浪墳墓出土品:大韓民国*→東京大学(日本)

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『琉球人のご遺骨を返してください!』 [全方位書評]

琉球遺骨返還訴訟全国連絡会2021『琉球人のご遺骨を返してください! いつ京大は植民地主義を反省するのですか』(ブックレット:頒価/500円 2021年12月20日発行)

「京都帝国大学助教授であった金関丈夫氏は1928~29年に調査として今帰仁百按司墓から遺骨を持ち出した。この時、金関氏は警察の手続きを経ただけであり、門中関係者、地域住民等の了解を得ていない。1879年の琉球併合後、警察を含む行政、教育関係の上層部の大半を日本人が占めるという植民地体制下に金関氏らの盗骨が行われた。
2017年、沖縄の地方新聞の報道により遺骨の盗骨を知った松島泰勝は、京都大学に対し遺骨の保管状況等を問い合わせた。しかし、京都大学はこの問い合せに一切対応せず、あろうことか山極壽一学長(当時)は、松島氏に対する侮辱の言葉まで発した。2018年12月、遺骨の現状確認と返還を求めて京都大学を被告に裁判を提訴した。

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遺骨の国家管理反対! アイヌ民族の遺骨の返還を求める東京全国集会 [研究集会]

遺骨の国家管理反対! アイヌ民族の遺骨の返還を求める東京全国集会

日時:2022年 10月 2日(日)13時~17時
場所:日本教育会館(地下鉄神保町駅 A1出口 徒歩3分)第5会議室
主催:ピリカ全国実行委員会

「天皇制日本国家はアイヌ民族の大地を奪い、強制移住によってコタンを破壊し、生活を崩壊させ、鹿猟や鮭漁を禁止して生存の危機に追い込み、言語と固有の文化を奪い、アイヌ民族を「滅びゆく民族」とする民族抹殺(同化)政策を推し進めた。アイヌ民族否定の同化・抹殺政策は戦後に引き継がれ、今現在も形を変えて推進されている。植民地主義は、アイヌ民族の民族的諸権利、先住権・自決権の実現を阻んでいる最大の要因である。」(会場配布資料『10・2「遺骨の国家管理反対! アイヌ民族の遺骨返還を求める東京全国集会」基調報告』:6.)

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