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井野瀬2021「コルストン像はなぜ引き倒されたのか」 [論文時評]

井野瀬 久美恵 2021「コルストン像はなぜ引き倒されたのか -都市の記憶と銅像の未来-」『歴史学研究』第1012号:41-50.

3か月前に開催された「今こそ問う 朝鮮文化財の返還問題」における発表で言及したコルストン像が取り上げられている。
私にとって正にタイムリーな論考である。

アメリカ・ミネアポリスでジョージ・フロイドが警官による頸部圧迫によって命を奪われてから2週間後の2020年6月7日に、イギリス西部の港町ブリストルで熱心な慈善活動家として知られていたエドワード・コルストンの銅像がBLM抗議デモの参加者たちによって引き倒され埠頭から海に投げ込まれた。

「なぜコルストン像は引き倒されたのだろうか。それは、「コルストン像がなぜ建てられたのか」という問いと表裏一体で考える必要があろう。銅像とはその設置を決めた当時の人びとにとっての集合的記憶の問題であり、それを倒そうという行為自体が、その集合的記憶に対する異議申し立てだからだ。」(43.)

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