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『万物の黎明』(続) [全方位書評]

「独自のテーマに没頭するひとりの考古学者とひとりの人類学者が、たとえばストーンヘンジや「ウルク・エクスパンション」あるいはイロコイの社会組織などにかんするあらゆる学者の見解をとりあげ、ある解釈を他の解釈より望ましいものとして説明したり、あえて別の解釈をしたりする。これは直感的に理解できるだろうし、一般的に学問の世界での真実の探求法でもある。しかし、ここでとりあげた資料の既存の解釈をすべて概説したり、反論したりしようものなら、この本はニ、三倍に膨れあがっていただろうし、著者たちは傍目にはみえない悪魔とたえず格闘しているような感覚を読者に与えることになっただろう。というわけで、わたしたちは、実際に起きたとおもわれることの素描を試みてきたのである。そして、他の学者の議論の欠点を指摘するのは、それがより広く知られた誤解を反映しているとおもわれるばあいに限定したのであった。」(582.)

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酒井編2024『グレーバー+ウェングロウ『万物の黎明』を読む』 [全方位書評]

酒井 隆史 責任編集 2024『グレーバー+ウェングロウ『万物の黎明』を読む -人類史と文明の新たなヴィジョン-』河出書房新社

・はじめに 「リアル・フリーダム」を再発見するために(酒井 隆史)
・グレーバーと『万物の黎明』について知っている、5、6くらいのことがら(酒井 隆史)
・原初的自由(デヴィッド・ウェングロウ)
・史遊び -『万物の黎明』の一書評-(ダニエル・ゾラ)
・黎明の閃光 -デヴィッド・グレーバーとデヴィッド・ウェングロウの人類新史-(サイモン・ウー)
・狩猟民の知的能力の高さに憧れる私はバカなのだろうか(角幡 唯介)
・まるいピトビトは泥団子の何万年(鳥居 万由実)
・なんというアブダクション! なんというファビュラシオン!(白石 嘉治)
・アメリカの小父さん(早助 よう子)
・ポスト人新世の芸術における想像力と創造性(山本 浩貴)
・『価値論』から『万物の黎明』まで -社会創造の自由-(藤倉 達郎)
・未来の空 -多様性の苗床になるための人類学-(大村 敬一)
・グレーバーの人類学が残したもの(松村 圭一郎)
・自由と歓待 -文化人類学的探究-(佐久間 寛)

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大庭1995「李亀烈著 南永昌訳 『失われた朝鮮文化』」 [論文時評]

大庭 重信 1995「李亀烈著 南 永昌訳『失われた朝鮮文化 -日本侵略下の韓国文化財秘話-』」『考古学研究』第42巻 第2号:116-118.

「「失われた」朝鮮文化財は、戦後50年を経た今でもその多くが日本の各所に残されたままなのである。残念ながら、このような事実について、日本社会での関心は非常に低いといわざるを得ない。」(116.)

終活に向けて身辺整理をする中で見出した文献である。今まで気付かずに漏れ落ちていた。
書評対象である刊行物の訳者の遺稿集に追悼文を寄せた際にも言及することができなかった。

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