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ツィルク2020『石の目を読む』 [全方位書評]

アレ・ツィルク(上峯 篤史 訳編著) 2020『石の目を読む -石器研究のための破壊力学とフラクトグラフィ-』京都大学学術出版会

読了するのに、難渋する。
同じ「石」を対象としつつ、先に論評した「いい感じの石ころ」とは、様々な意味で対極にある。

「石器の多くは、ガラス質の岩石を打ち割って作られるが、打撃で生じた、幾重にも重なった剥離痕が、その製作経過や道具に期待された用途や作り手の嗜好、文化伝統、そして失敗の証拠でさえも、包み隠さず記録している。まるでテクストのページを繰るように、剥離痕跡を丹念に読んでいくのが石器研究の常道である。その読解は割れ現象のメカニズムについての経験的な理解に支えられているが、割れ現象とそれによって生じる痕跡についての見解を深めれば、得られる情報の量や確度は飛躍的に高まるはずである。破壊力学はそのための知識を提供し、それを加味して石を読むのが石器のフラクトグラフィである。」(口絵 i)

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