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金2009『朝鮮王妃殺害と日本人』 [全方位書評]

金 文子(キム・ムンジャ Kim Moonja)2009『朝鮮王妃殺害と日本人』高文研

以下のように記した。

「1895年に朝鮮国王高宗(コジョン)の妃である明成皇后(閔妃ミンビ)が日本人によって王宮で殺害され、遺体すら残されなかった事件がおきました。その時に王妃の部屋から持ち出されたとされる遺物が、上野の東京国立博物館に所蔵されています。(中略)
同じことが自分の国で起きたとしたら、私たちはどのように思うでしょうか。」(五十嵐2019『文化財返還問題を考える』:55-56.)

「同じことが自分の国で起きたら」という想像力を働かすためには、まずどのようなことが実際に起きたかを知らなければならない。

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縄文研究の地平 2019 研究集会 [研究集会]

縄文研究の地平 2019 研究集会 -層位/分層、遺物ドット・接合からみた遺跡形成-

日時:2019年12月15日(日) 10:00~16:30
場所:東京都埋蔵文化財センター 2階 会議室
主催:縄文研究の地平グループ
共催:東京都埋蔵文化財センター

報告1.「遺構」論の今 -「遺構」とは-(及川 良彦)
報告2.10年前の調査成果 -オライネコタン4遺跡を使おうとしたら意外と大変だった-(村本 周三)
報告3.遺物の出土位置情報から災害を可視化する -新潟県村上市上野遺跡での実践-(小野本 敦)
報告4.上野原遺跡(第10地点)「環状遺棄遺構」の検討(立神 倫史)

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稲田2014『日本とフランスの遺跡保護』 [全方位書評]

稲田 孝司 2014 『日本とフランスの遺跡保護 -考古学と法・行政・市民運動-』岩波書店

「…文化財行政にたずさわる考古学研究者のなかには、いかにも法律用語・行政用語といった感じの埋蔵文化財なる言葉のせいで、事前発掘調査を学問的に進めるのが困難になっていると感じている人が少なくないようだ。
考古学用語であっても、世間で広く使われている言葉ならそのまま法律・行政用語に用いればよいではないか、という主張にはもっともな点がある。個々の法律用語にどの言葉がよいかはさておき、ただ、文化財保護法の立法時においては、むしろ意図的に法律用語と考古学用語を区別することにより、行政と学問のあいだに一線を画そうとしたところに苦心があったのだとわたしには思える。
埋蔵文化財か考古学用語かという問題は、たんに法作成の技術上の観点あるいは行政にかかわる研究者の学術的な願望からだけでなく、考古学という学問と社会・国家との関係のあり方を見据えたうえで議論していく必要がありそうだ。」(297.)

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