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石原2020『<沈黙>の自伝的民族誌』 [全方位書評]

石原 真衣 2020『<沈黙>の自伝的民族誌 -サイレント・アイヌの痛みと救済の物語-』北海道大学出版会

ある人から「いいよ」と勧められて読んだが、良かった。

「遺骨たちは、「私」をつかまえて、離さない。そして、叫び続ける!
「忘れるな!」。「沈黙から言葉を紡げ!」。
「そして癒すのだ!」。「癒すのだ!」。「癒すのだ!」。
遺骨たちの叫びは、日毎に大きくなる。朝も、昼も、夕も、夢のなかでも、希望のときも、絶望のときも。私は、とうとう、遺骨たちの叫びから逃れられなくなる。歴史が身体に刻印されていない私が、物語を取り戻すためには、手がかりが必要だった。その手がかりとは、まぎれもなく、私の「痛み」だった。そして、それは叫び続ける遺骨たちの「痛み」でもあった。」(4.)

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