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土屋2017『市民参加型調査が文化を変える』 [全方位書評]

土屋 正臣 2017『市民参加型調査が文化を変える -野尻湖発掘の文化資源学的考察-』美学出版

「本書は、発掘調査の持つ社会教育的な意義の検証を通じて、埋蔵文化財行政の望ましい方向性を提示することを目的とする。この論文の問題意識は、筆者の経験に基づいている。筆者は、大学で考古学を専攻した後に、基礎自治体の文化財保護行政に関わることになった。その過程で考古学研究と文化財保護行政とは全く異なる次元にあることに気がついた。前者はあくまで真理を探究する学術研究であり、後者は行政の範疇にある。特に、同じ発掘調査という手段を必要としてはいても、学術上の成果を生み出すことを目的とする学術発掘と、行政が主に開発事業に伴って破壊される遺跡を記録として保護する行政発掘とは、その目的や意味が全く異なる。記録保存のための発掘調査は、行政施策として実施する以上、結果的に住民の福祉の増進を図る(地方自治法)ためのものでなければならない。」(8.)

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