遺骨の国家管理反対！ アイヌ民族の遺骨の返還を求める東京全国集会

遺骨の国家管理反対！　アイヌ民族の遺骨の返還を求める東京全国集会

日時：2022年 10月 2日（日）13時～17時
場所：日本教育会館（地下鉄神保町駅 A1出口 徒歩3分）第5会議室
主催：ピリカ全国実行委員会

「天皇制日本国家はアイヌ民族の大地を奪い、強制移住によってコタンを破壊し、生活を崩壊させ、鹿猟や鮭漁を禁止して生存の危機に追い込み、言語と固有の文化を奪い、アイヌ民族を「滅びゆく民族」とする民族抹殺（同化）政策を推し進めた。アイヌ民族否定の同化・抹殺政策は戦後に引き継がれ、今現在も形を変えて推進されている。植民地主義は、アイヌ民族の民族的諸権利、先住権・自決権の実現を阻んでいる最大の要因である。」（会場配布資料『10・2「遺骨の国家管理反対！　アイヌ民族の遺骨返還を求める東京全国集会」基調報告』：6.）

「学術会議・学術振興会を通じて返還問題を考える」では、日本学術会議 第24期「歴史的遺物返還に関する検討分科会」が公表した「記録」(2020)の検討から、日本学術会議の前身である学術研究会議の建議(1921)の「民族衛生研究機関設置ニ関スル建議」について、日本学術振興会 第8小委員会が1935年1月21日に開催した第2回会議および第8常置委員会 援(2)25と記された文書の実施方法詳記の骨格ノ蒐集と題する文章について、『特別及ビ小委員會ニヨル綜合研究ノ概要 第7回 16年度』の「日本学術振興会」という文章および第８小（アイヌ）委員会そして第15小（東亜古蹟）委員会の概要について、そして1946年5月6日に公布された勅令 第263号いわゆる教職員追放令について、そして1973年4月26日の日本学術会議 第63回総会で採択された「日中国交回復、特に学術交流の再開に際し、日本の科学者に訴える（声明）」中の「戦争中軍事力の威圧を背景として正当な手続きによらずに中国から持ち帰えられた研究資料や文化財をその本来の持主に返還することが必要である」という文章を巡って提出された「全ての侵略略奪発掘による出土品を即時各国人民に返還せよ！！　日本学術会議の責任回避を糾弾する」『地点』臨時号(1973・5・4)という文化財問題研究会の論点について、そこから2016年11月に京都府立大学で開催された日本中国考古学会シンポジウム「日本考古学の100年と中国考古学研究 -20世紀前半の調査資料にもとづく新たな研究視角-」で発表された論考に対する私の考えを示して、最後に私が生まれる以前に発表された私の返還運動の原点とも言うべき文章を紹介した。

言及すべき事柄が多すぎて、とても50分という与えられた枠内では話しきれなかった。聞かれている方々にとっても次々と場面が入れ替わり理解が追い付かなかったのではないかと危惧しているが、言うべきことだけは言い切ったという達成感は残った。言及しきれなかった部分をも補いつつ今後の文章化を目指したい。

主催団体に集う全国各地の仲間たちに加えて、共に返還運動を進めている仲間や支援してくれている旧友をはじめジャーナリストから知り合ったばかりの若い学友に至るまで、多くの人たちと会い交流することができた。
着実に理解の輪が広がっていることは、最近の新聞記事からも感じとることができる。

・2022年9月25日（日）『東京新聞』こちら特報部（大杉 はるか）22・23面
「国交正常化50年 節目に一石」「中国から略奪石碑「返そう」」「宮内庁へ 国内団体が初の要望」「東アジア史の貴重な資料」「「歴史和解」の一助」「皇居からあるべき場所へ」「動き鈍い政府」「草の根レベルで文化財返還を」
「貴重な碑文が刻まれた石というとロゼッタストーンを思い起こす。大英博物館の目玉展示品だが近年、エジプトから返還請求を受けているという。帝国主義時代の収奪品としか言いようがないからだ。今や誇示することもできなくなった戦利品を、皇居で秘蔵しておく意味などない。」（歩）「デスクメモ」

・2022年9月26日（月）『毎日新聞』CUクローズアップ（三股 智子）1・3面
「大学に眠る経路不明遺骨」「先住民の墓 戦前に盗掘か」「「盗掘」遺骨調査進まず」「医科歯科大「真摯に対応」／東大「確認中」／京大「時間かかる」」「研究に遺族同意必要」「海外では法整備・返還」
「国内でも、遺骨の尊厳と研究利用のあり方に真正面から向き合うべき時が来ている。」（三股）

同じ「外国考古学」と言っても、日本人考古学者が中国考古学を研究するのとアメリカ考古学を研究するのとでは、おのずから意味合いが異なるだろう。
同様に、同じ中国考古学であっても日本人考古学者が研究するのとアメリカ人考古学者が研究するのとでは、意味合いは異なるだろう。
いや異ならなければならない。

タグ：外国考古学 鴻臚井碑 アイヌ遺骨