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植民地支配 奪われた文化財の返還を考える [研究集会]

   <三・一朝鮮独立運動記念集会>
「植民地支配 奪われた文化財の返還を考える」(五十嵐)

日時:2023年 3月 1日(水)18:30~20:00
場所:札幌市男女共同参画センター 4階大研修室(エルプラザ)
主催:日本の戦後責任を清算するため行動する北海道の会
後援:北海道平和運動フォーラム

【チラシ案内文】
ヨーロッパの旧植民地本国からかつて植民地であったアフリカへ文化財を返還するニュースが伝えられています。近代における植民地支配という誤った行いに対する反省に基づいた帰結です。こうした動きは、性差別に対するフェミニズム運動、人種差別に対するブラック・ライヴズ・マター運動など過去の不正義を正す(リドレス)運動と軌を一にしています。それでは遅れて植民地争奪に加わった日本は、どうでしょうか? いずれも世界をリードする状況とは程遠い何周も遅れた状況であることは否定できないようです。
ポスト・コロニアルな時代と言われています。しかし様々な原因によって負の遺産が解決されないまま残されています。その要因は、私たちの心の中に根深く残る植民地主義的な考えではないでしょうか。人権や倫理よりもナショナリズムを優先させ、文化財に対しても表面的な評価をしがちな私たちの視線について考えます。

【当日配布資料】
1.
最近の海外動向
AFP時事:20221227日 ウクライナ博物館職員、ロシア軍の略奪行為に「衝撃」
NHKBS1202313パンドラの箱が開くとき -文化財返還 ヨーロッパの最前線-
共同通信:2023116日 大英博物館 古代彫刻返還で協議 ギリシャと早期合意も
2.小倉コレクション
朱漆十二角台付膳(TH-441)と龍鳳紋の入った冑(TK-3445
3.戦利品の区分
戦利品A(狭義)と戦利品B(広義) 
<もの>の価値と由来
4.戦利品A
鎮遠副錨と砲弾(台東区 上野公園)
御府という戦利品収蔵庫(皇居 吹上地区)
鎮遠主錨(岡山県 福田会)
鎮遠時鐘(神奈川県立小田原高校)
定遠砲弾(和歌山県 須佐神社)
八紘之基柱(宮崎県 平和台公園)
寄せ書きのある日章旗
5.戦利品B
三学寺 石獅子(栃木県 山縣有朋記念館・靖国神社)
鴻臚井碑(皇居 吹上地区)
利川 五重石塔(港区 大倉集古館)
楽善君 神道碑(三島市 佐野美術館)
国宝 朝鮮鐘(福井県 常宮神社)
観月堂(鎌倉市 高徳院)
6.<もの>の価値
由来価値優位な戦利品Aと基礎価値優位な戦利品B
商品と文化財の違い 
基礎価値と由来価値 
エシカル(正当性)
<もの>の由来(入手経緯)による名称
正当なのか、不当なのか
7.ひと・もの・場
ある<場>からある<もの>が、別の<場>へ運ばれる
ある<場>に運ばれた、ある<もの>が元の<場>へ戻される
重瑕疵文化財(対馬仏像問題)
ロゼッタ・ストーン・ヘンジ
8.眼差しの変容
富の象徴から動物保護へ
町の名士から奴隷商人へ(コルストン像)
戦利品から略奪財産へ
9.現在の植民地主義
現状維持か、それとも現状変革か
植民地支配責任、日本人の責務とは
10. 負の遺産としての瑕疵文化財
南京事件、731部隊、重慶爆撃 ⇔ 収奪文化財(瑕疵文化財)
加害と被害の相互関係
世代間倫理 環境問題
11. 総体的な文化財概念へ
目に見えない傷を見る深みのある文化財理解へ

*平日の夜にも関わらず、30人ほどの方が参集された。
終了後の懇親会も含めて、活発な議論がなされた。
北の地は、まだまだ熱い。


タグ:文化財返還
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