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2013WAC-7(2) [総論]

ここからが後半である。

4.1A:岩壁画における命と死の情景:分析と解釈への挑戦
4.1B:ヨルダンにおける文化変化に関する厚みのある時間認識:サイバー考古学、生産と交易
4.1C:古代都市生活における芸術と建築
4.1D:周縁の考古学
4.1E:危機にある遺産:持続可能な保存のためのアプローチ、テクノロジーそして戦略
4.1F:消費者、生産者それとも仲介者? 直接参加の考古学における多声性に向けて
4.1G:「一般的」な遺産:文化と経済の絡み合いに関する新たな視点
4.1H:考古学とビジネス:機会それとも挑戦?
4.1K:考古学における出版

4.2A:世界の縁にて、狭間の文化
4.2B:年代測定と編年の最新状況
4.2C:死と死者の考古学
4.2D:空間の考古学:構造、土地改変、場所
4.2F:博物館を探求する:グローバルな視点
4.2G:古代の知識、新たなエピステーメ:南から南へ(ラテンアメリカ、アフリカ、中東)、脱植民地化の政治的・従属的な考古戦略
4.2H:社会的持続可能な開発とは
4.2I:相互交換する文化:物質的な指標
4.2J:癒しとしての過去:失われたアイデンティティを回復する
4.2K:金属の利点およびアジア社会における開発
4.3A:五感による感覚:感覚的な考古学
4.3B:交易と交換を特徴付ける
4.3D:貢献者、協力者、研究者としての学生
4.3E:持続可能性、遺産保護、市民社会の役割
4.3F:先史学の提示
4.3G:資本主義の考古学:周縁からの考察
4.3I:南西アジアにおける新発見
4.3J:現在における過去:アイデンティティ、遺産、伝統
4.3K:学生倫理ディベート
5.1A:現代考古学における倫理に関する議論:ディレンマと解決
5.1B:ヨルダン古代学部からのプレゼンテーション
5.1C:過去から現在への水資源と社会:管理、持続可能性そして脅威
5.1D:将来へのインターフェイス:古典世界における通文化的、地理的、時間的探求における国際的、学際的な共同研究
5.1E:災害と考古学
5.1G:考古学的データの統合と管理
5.1H:経済開発としての考古学:回顧と対応
5.1K:生物考古学に関するポスター
5.2C:農業の過去と現在、将来のために共有する知識と信頼の構築
5.2D:実践と教育のための次世代への教育と訓練
5.2E:考古学における科学:次はどこに?
5.2F:グローバルな出版の必要性と西洋社会の出版産業
5.2I:DNAと考古学の統合性
5.2Y:岩壁画と物質科学

彼我共通するものもある。当然であろう。
例えば、#27「交易をどうとらえるか」は4.3B:「交易と交換を特徴づける」、#33「ジェンダーで何がわかるか」は2.2C:「ジェンダーと埋葬習慣」、#36「暴力をどう語るか」は1.2E:「戦争の考古学」、#49「教育現場での考古学」は1.1E:「考古学に関する公教育と子供たちの声」など。
微妙にずれているものもある。
例えば、あちらでは「デジタル化」というのは主要なテーマである(1.1L:「デジタル的将来に向けてのデータ・アーカイブ」、2.2B:「デジタル時代の考古学」、5.1G:「考古学的データの統合と管理」など)。ところがこちらで「デジタル」が出てくるのは#40「考古学にとっての写真・映像とは」の説明文中だけである。この懸隔。

さらに重要なのは、あっちにあってこっちにないもの、こっちにだけあってあっちにないものである。
あっちのキーワードの一つは先住性(indigeneity)である(1.1F、1.2Fなど)。こちらで対応するのは#34「社会的差別の問題にどう迫るか」ぐらいである。しかしそこに出てくるのは「被差別民といった社会的マイノリティ集団」といった抽象的な表現であり、当然言及されるべき「アイヌ民族」については述べられない。WAC-7参加記でも「日本国内においても先住民問題は存在するが、筆者は考古学の研究会等で直接聞いたことはなかったのでとても新鮮であった」(上月2013:12.)という素直な感想が述べられているが、1972年に何故「風雪の群像」および「北海道大学北方文化研究施設」が同時に爆破されたのかをよくよく考えなければならない(【2013-01-09】引用文:結城1980を参照のこと)。

もう一つのキーワードが倫理(ethics)である(2.3E、2.4O、5.1Aなど)。
両者の交錯する領域が、「文化財返還問題」である。この点に関しては、次回に「2.1F:返還」セッションにおける諸発表を取り上げて言及することになろう。

対して、こちらにあってあちらにないもの。
#12「国家の起源」とか#13「古代の家族」といったテーマは、近年の世界考古学の動向においてはどうも「フィット」していないようである。#21「型式学」や#23「時代区分」、#25「首長制」といったものも同様である。さらに#24「マルクス主義」や#39「測量機材」といったセッション・テーマが、現在の世界考古学でどの程度、設定可能なのか、識者の意見を拝聴したいところである。


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