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第5回 宣言記念日 [雑]

「2000年に「日本は天皇を中心とした神の国である」という森喜朗首相(当時)の発言を聞いたとき、私は衝撃を受けました。戦後60年近く経っても「日本よい国、つよい国 世界に一つの神の国」という、修身教科書「ヨイコドモ 下」(国民学校初等科2年生用)の一節をいまだに信奉している人がいるのか、とびっくりしたのです。森氏は昭和19年4月に国民学校に入学していますから、「ヨイコドモ」教科書で教わったことは確かでしょう。しかし、この森氏だけではなく、「新しい歴史教科書をつくる会」の周辺や、内閣総理大臣の靖国神社公式参拝をめぐる論調をみると、「日本は神の国」だと信じている人、もしくは信じたい人は予想以上に多いことに驚かされました。
これらの論調に共通するキーワードは「日本人は誇りを取り戻せ」でした。」(早川タダノリ2010『神国日本のトンデモ決戦生活 広告チラシや雑誌は戦争にどれだけ奉仕したか』合同出版:222.)

愛読ブログ「虚構の皇国」が本になったので、早速買い求める。
以下も同書から。
出典は、教材研究会編1932『高等小学校夏季学習帖 第二学年』富田屋書店。

修身 8月3日
問一 「我が國は萬國無比の國體を有す。」と常にいふが、如何なる點が萬國無比と思ふか。
問二 常時に於ける忠君の道は如何にすれば全うし得るか。
問三 「國民は一つ心にまもりけり遠つみおやの神のをしへを。」と仰せられた大御心を拝して如何に感ずるか

78年前の今の中学2年生相当の夏休みの宿題である。当時の13才はこんな問題を毎日やらされていたわけである。
更に10年後にグレードアップすると、こんなのも。旧制高等学校受験用の和文英訳問題である(1942『受験と学生』2月号、研究社)。

【基本問題】
 長期戦を遂行する為には銃後の我々が節約をせねばならぬ
 (解答) 
 In order to sustain a protracted warfare, we at the home front must practice economy.

【必勝問題】
 日本の執つてゐる政策並びに懐抱してゐる理想は人類の功利的観念を一掃し、大東亜の旧組織に代ふるに新体制を以てし、かくて世界各国をしてその所を得しめることである
 (解答)
 The policy that Japan is pursuing and the ideal that she cherishes are to eradicate the utilitarian way of thinking of mankind, and to establish in the Greater Asia the new order in place of the old, so that each nation in the world may find its proper place.

二度と再び、こんな「トンデモ」英語を勉強するような時代が来ないことを切に願うのみである。 

5年目の記録(2010年8月24日[対前年比]

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