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第3ラウンド・3者会談・3段論法 [雑]

第1ラウンドは、2010年5月22日の第76回総会における席上発言による提案に始まり、それに対して同年6月理事会での「議案第30号」、9月理事会での「報告第67号」として応答がなされた。
本年に入ってからも北海道大学での発表、第7回世界考古学会議での返還セッションの紹介などを通じて問題を提起した。
第2ラウンドは、こうした経緯の末、2013年4月に理事会宛に改めて審議事項として提出することでスタートした。それに対して4月理事会で「議案第143号」として総会審議却下の方針が示された。
ここから本件は、新たな局面を呈し始める。日本考古学協会の「4・27宣言」と称したものである。
5月25日には総会前の理事会宛に、「議案第143号に関するメモ」と題する自らの意見を提出した。
しかしこうした努力も空しく、総会での理事会報告では議案第143号に則った発言がなされ、こちらからの疑問については継続審議・検討事項として質疑は打ち切られた。

昨日9月24日(火)には、「議案第155号」で示されたように担当理事2名と「直接話し合う機会」を得ることができた。
第3ラウンドのスタートである。

残念なことに現在は、本題である文化財の返還問題について話し合う以前に、その前提条件について話し合わなければ先へ進めない状態となっている。
「議案第143号」(4・27宣言)が、ターニング・ポイントとなった。

「議案第143号」は、3点の論点によって構成されているが、特にその中心的な問題について全体的な構図を確認しておこう。
それは、ある種の3段論法によって論理構成されている。

前提1:文化財返還問題は、国家間のレベルの問題である。
前提2:日本考古学協会は、国家間のレベルの問題に関与しない。
結論: 日本考古学協会は、文化財返還問題に関与しない。

総会での審議忌避という結論を導くために示された2つの前提条件なのだが、いずれも深刻な問題を孕んでいる。
前提1について、果たして文化財返還問題は、国家間のレベルだけの問題なのだろうか?
こうしたことについては、総会の席上でもアイヌ民族に対する視点の欠落を指摘したが、未だに継続審議中のようで、昨晩も明確な返答は得られなかった。
日本考古学協会は、今後も先住民考古学という分野を否定していくつもりなのだろうか?
「日本考古学」の見識が、問われている訳である。
前提2について、果たして日本考古学協会は、国家間のレベルの問題に今後とも一切関与しないつもりなのだろうか?
もしそうだとするならば、一般社団法人として新たな活動指針が示された訳である。当然のことながら、総会審議事項である。

来年4月になって、日本考古学協会の活動目的(定款第2条第2項)に新たな修正条項(国家間のレベルの問題には関与しない)を加えることが適切か否かといった総会審議案件を提出するような事態だけは回避してもらうように、お二人の理事に要請したところである。

「議案第143号」が示される以前は、あくまでも文化財返還問題に関する日本考古学協会という組織の対応問題であったのだが、「議案第143号」によって問題は日本考古学協会という組織が「国政レベル」(実は「国家間のレベルの問題」)には関与しないという自己規制を公表したために、一般社団法人としての活動目的(定款第2条)にまで問題が広がってしまった訳である。
幸いなことに昨晩の3者会談では、「議案第143号」について見直しないしは軌道修正が必要であるとの点で意見の一致をみたので、今後何らかの新たな対応がなされることだろう。
叡智を集め、日本考古学協会がこれ以上深みにはまらないように、すなわち「議案第143号」公表以前の状態を回復できるような方策が模索されなければならない。
話しは、そこからスタートする。


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