SSブログ

晋州シンポジウムに参加して、日本の国宝問題に想いを巡らす [拙文自評]

2012「晋州シンポジウム(韓日文化財交流大会)に参加して、日本の「国宝問題」に想いを巡らす」『韓国・朝鮮文化財返還問題連絡会議年報2012』No.1、韓国・朝鮮文化財返還問題連絡会議編:11-13.

「2010年6月にスタートした私どもの連絡会議のささやかな活動ですが、さらに内外にネットワークを広げながら、文化財の調査を進め、解決の道筋を一緒に考えていきたいと願っています」として、5月1日に創刊された『年報』に、当ブログに掲載した2つの記事、「韓日文化財交流大会」【2011-12-22】と「「国宝」という問題」【2012-01-05】を合わせて一部修正した文章が掲載された。

先日、新聞紙上において中国大陸における遺棄化学兵器による被害が報じられていた。
現在、内閣府大臣官房の所管で「遺棄化学兵器処理担当室」という組織が現地での発掘・回収作業を進めている。まさに、近現代考古学である(【2007-07-19】も参照のこと)。どのような部隊が、どのような指揮系統のもとでいつどのように遺棄したのか、詳細な「発掘調査報告書」が待たれる。
戦争という非常時に、隣国に攻め入った国が、自らにとって都合の悪い<もの>を現地に埋めてきて、それが今に至って地域住民に被害を及ぼしている。
それに対して、自らにとって、欲しい<もの>を力を背景にして奪ってきたのが、「略奪文化財」である。本来的には、遺棄化学兵器と同様に、内閣府大臣官房の所管で「略奪文化財返還担当室」といった組織が設立されて然るべきと考える。
勿論、一方は住民に対して直接肉体的な被害を与える緊急性を要する事業である。事態の収拾に責任を負う国家が主体となるのは、当然である。
しかし、もう一方についても直接的で肉体的な被害こそ与えないまでも、暗い収蔵庫から目に見えないそして人の尊厳を損なう倫理的な被害をもたらし続ける。
両者は、身勝手さの合わせ鏡のような存在である。

【お知らせ】
韓国・朝鮮文化財返還問題連絡会議公開勉強会
日時:2012年5月13日(日) 午後3時~5時
場所:韓国YMCAアジア青少年センター302号室(千代田区猿楽町2-5-5)
内容:報告1.日本にある朝鮮半島由来の鐘と仏画について -現況と将来への展望-(姜 健栄氏)
    報告2.日本に存在する韓国文化財に関する「還収(返還)」に関する一考察 -利川五重石塔の事例から-(孫 孝珍氏)
主催:韓国・朝鮮文化財返還問題連絡会議

*会員を募集しています*
文化財の専門家や研究者だけでなく、市民がまわりの文化財を調査し、文化財を通して歴史を学び、考える新しい市民運動です。
会費は年会費(個人)3,000円、(団体)5,000円、(賛助会費)10,000円です。
規約や申込書は、ウェブで入手できます。
会費は、郵便振替(00140-9-607811)「韓国・朝鮮文化財返還問題連絡会議」宛にお送り下さい。


nice!(1)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:学問

nice! 1

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0