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応答に対する応答 [雑]

「文化財返還に向けて」と題した本ブログ記事【2010-05-23】に引用した問題提起に対して、日本考古学協会理事会からの応答が示された。

「2010年6月理事会議事録
議案第30号 会員からの調査要望について
石川理事から、第77回総会時に神奈川県の五十嵐彰会員から発言のあった提言(戦時期に収集された大陸の考古資料について、協会内に状況調査の専門委員会を設置し、その入手経路、現状、実態等について調査するとともに、併せて問題解決のための声明を行うべきである)につき説明があり、その扱いについて検討された。総会での発言として、次号会報の第76回総会(抄録)に明記することが了承されたが、過去の歴史的事実を研究することは可能であるが、様々な現代政治的問題が絡むことや、西アジア考古学会の事例等々の意見が交わされた結果、今後も継続的に扱いについて検討することとし、来月開催される国際交流委員会で取り上げることとした。」

・今年の総会は、第76回ではなかったかしら?
・かつて神奈川県に在住したことはあるが、現在は東京都在住である。
・「大陸」に限定した覚えはないのだが。「外地」と発言したつもりだが。
・発言があったことを記録に残すことすら、了承事項とは。

「過去の歴史的事実を研究することは可能であるが、・・・」
そもそも考古学という学問は、「過去の歴史的事実を研究する」学問なのではなかったのか? そうした当たり前の事柄をわざわざ記すということの意味は?

結論としては「今後も継続的に扱いについて検討すること」であり、「来月開催される国際交流委員会で取り上げること」というものである。すなわち理事会としては結論を保留する、積極的には取り扱わないということらしい。

そうした結論に至った理由として以下の2点が記されている。
1.様々な現代政治的問題が絡むこと
2.西アジア考古学会の事例

後者について言えば、これでは何のことやら一般会員である読者は訳が分からないであろう。もちろん、私も訳が分からない。少なくともどのような情報ソースに基づく判断なのかぐらいは示してもらわないと対処の仕様がない。そしてここで問うているのは、日本考古学協会としての主体的な判断である。他団体の動向はこの際、別問題である。

前者について言えば、果たして現在の日本考古学協会が取り扱う様々な諸問題に関して、「現代政治的問題」が絡まない事例が有り得るだろうか?
協会所蔵図書問題はもとより、研究環境検討委員会で検討されている「資格問題」や「博物館問題」は「現代政治的問題」ではないのか?
社会科歴史教科書等検討委員会の活動は、「現代政治的問題」と絡まないのか?
そして埋文委の活動は?

私には、到底理解不能である。
それとも私が理解している「現代政治的問題」という言葉の意味と日本考古学協会理事会の用いている「現代政治的問題」という言葉の意味が異なっているということなのか?
識者のご意見を伺いたい。

何を排除するのか、何を忌避しているのかということを通じて、その人あるいはその組織の有り様というものが示される。
問われているのは、知的誠実さである。


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