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回想(総括-5) [捏造問題]

どう考えても、検証の検証が必要である。あるいは検証の検証をなすべき前に、検証の中において、検証の検証が必要であったと言うべきか。

具体的には、「青葉山E地点7b層上面出土資料」。

「本遺跡7b層の調査では、当初、旧石器発掘捏造が発覚した藤村新一氏が関わっており、これらの調査資料についても、捏造行為(遺物の埋め込み)が行われなかったか否か、徹底した検討を行った。ことに、発掘調査の経過、その記録内容、石器、礫の出土状態、検出状況の検討、出土石器の型式学的検討内容について可能な限り詳しくかつ正確に記述することに努めた。出土資料の整理、分析には、本センターの調査研究員と運営委員会専門委員が協力し、慎重に取り組んだ。また、複数の検討者が調査経過などの事実関係と石器群の観察、分析にあたり、客観性の確保に努力した。出土層位、出土状態、製作技術、石材、使用痕などの慎重な分析と検討を経て、7b層から出土した石核、斜軸尖頭器、剥片、砕片、礫群などの資料は、石器の型式学的検討、出土状態、垂直分布などの位置関係の検討、石器の使用痕、石材の検討、さらに、共伴した7点の礫の検討、5層の川崎スコリア、6層の柳沢スコリア、愛島火山灰に挟まれた7b層の層位的関係から、総体的にみて中期旧石器時代の所産であると理解して矛盾はないと考えた。」(柳田俊雄・鹿又喜隆2001「青葉山周辺の旧石器時代石器群の出土状況」『東北大学埋蔵文化財調査年報14』東北大学埋蔵文化財調査研究センター:p.79)

「石器の検証結果は、発見された9点の内4点に、不自然な鉄分や黒色土が付着したものが含まれており、かなり高い割合である。このような様相は、藤村の証言と整合的であると言わざるを得ない。そのため、ねつ造行為が行われた可能性は高いと判断せざるを得ない。そのため、学術資料としての価値は失われたものと判断すべきであると考える。」(東北大学埋蔵文化財調査研究センター2003「宮城県仙台市青葉山E」『前・中期旧石器問題の検証』p.151)

わずか2年前に「徹底した検討」「可能な限り詳しくかつ正確に記述すること」「客観性の確保に努力」「慎重な分析と検討」がなされて、その結果導き出された結論が、「不自然な鉄分や黒色土」が「かなり高い割合」で確認されたということだけをもって、いとも簡単に覆る。
なぜ、どのようにして覆ったのかという具体的な検証過程が一切ない。
学問的自殺行為といって過言ではない。

同じことは、発覚後に白判定を出したもう一つの事例(471B)についても当て嵌まる。
「行為主体者としての説明責任および応答責任が、様々なレベルにおいて(例えば稲城市民、東京都民あるいは日本国民に対して)果たされていないと感じるのは、筆者だけではないだろう。」(五十嵐2004c「東京都」『日本考古学年報』第55号:189-190

 


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