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第2考古学セミナー2012#3のお知らせ [セミナー]

日時:2012年12月19日(水)午後6時30分~
場所:慶應義塾大学 三田キャンパス 研究室棟 地下1階 民族学考古学演習室(B124)
内容:「水資源からみた隆起サンゴ礁における先史遺跡分布:ラッテ期・グアム島北部」(島崎達也:慶應義塾大学院)

「島の面積は約549平方キロで、日本の淡路島とほぼ同じ大きさだ。米軍基地が島の土地の約3割を占めている一方で、日本人が遊ぶタモン湾のホテル地区は、島の1%にも満たない。それでもタモン湾には20を超える大型ホテルが建ち並び、米軍基地に負けないほど大量の水と電力を日々、消費している。
そのグアムでは、断水が頻繁に起こる。給水施設の近代化が遅れている同島では、とくに日本人が多くやってくるお盆や正月になると、リゾート・ホテルでの水の需要が増えて水圧が下がるため、米軍基地とホテル地区の外に住む一般家庭では水が出にくくなるという。

さらに数年に一度は大型台風が上陸し、島中の電線を破壊するため、その度に深刻な長期停電が起こる。停電すると水をくみ上げる電力ポンプも止まるため、断水も同時に発生する。
摂氏35度を超える熱帯の島で、テレビやパソコンはもちろん、冷蔵庫やエアコンも使えず、水も出ない状態が、数週間も、ときに数か月も続く。停電が長引けば病気になる人が増え、死者さえも出るという。
「そんな状態が続くと、ほんとうに頭がおかしくなりそうになるよ」とグアムに住む知人は、苦笑しながら筆者に教えてくれた。
一方で、タモン湾のホテル地区には、停電も断水もない。島経済の約7割を稼ぎ出す同地区だけは優先的にインフラが整備されているうえに、自前の臨時発電施設を持つホテルや免税店も多いからだ。東京ディズニー・リゾートとほぼ同じサイズのホテル地区だけは、別世界である。
そこから一歩も出ずにグアムを観光し、帰国する日本人もいる。なかには「グアムなんて日本人しかいない、退屈な観光地だ」という人もいる。
しかし100万の日本人が遊ぶ「楽園」の外側には、林立する観光施設と巨大な米軍基地に蝕まれて、先住民の人口減少と、脆弱なインフラに悩むグアム現地社会が広がっている。
グアムとは無関係に栄える、日本人観光者のためのリゾート、その地下には、かつての「大宮島」の記憶が眠っている。」(山口 誠2007『グアムと日本人 -戦争を埋立てた楽園-』岩波新書1083:ii-iv.)


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