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デジタル・データ調査(その後) [考古記録]

2006年3~4月にかけてなされた「埋蔵文化財センター・デジタル・データ調査(JAD2)」の中間報告がアップされた。
http://www.chiron-training.org/go_sugimoto/digital_survey
合い言葉は、「日本考古学を面白くしよう!」である。

是非、新プロジェクト「ACT考古学」の提案書をお読みいただき、一人でも多くの方に積極的に参加していただければと、願う次第である。

「岩崎 よくキーワードということを聞きますが、これはいったいどういうものなんですか。
 及川 タイトルや著者名から探すということは、探したい文献がある程度はっきりわかっているということですね。そうではなく、どのような文献があるかわからないが、自分の専門分野に関連した文献にどんなものがあるか見たいというような場合、探す手がかりとして、タイトルや著者名だけでは不十分なわけです。」(及川昭文・岩崎卓也・菊池徹夫・茂木雅博1985「座談会 考古学におけるコンピュータの利用」『考古学調査研究ハンドブックス3研究編』雄山閣:145)

これは、わずか20年余り前に交わされた会話の一部なのだが、なんかもう遥か遠い昔のことを話しているように思われる。もちろん、グーグルやウィキペディアなんか想像もできない頃である。
自らを思い起こしてみても、わずか10年程前には、店頭に見当たらない本を注文しようとすれば、カウンターでカーボン紙が挟み込まれた注文書に書名と著者名と出版社をしこしこボールペンで書き込んで、ビリビリ破いた1枚を手元に置いて、書店から電話が掛かってくるのを今か今かと待っていたものだった。それが、今や、キーボードをトントン叩いて、2・3日もすれば、玄関まで届けてくれるというわけである。(おまけに頼んでもないのに「あなたが関心のありそうな本」まで、ガンガン推薦してくれる。)
あるいは、図書館で目的の本を探そうと思えば、ごっつい蔵書目録棚の手垢にまみれた蔵書カードを必死に繰りながら、ため息をついたり、凱歌を上げたりしていたものだった。ところが今や、自宅のパソコンで様々な図書館のOPACをフンフンと検索して、はい終わりという時代である。

私たちは、こうした時代をある部分で望みながら、そしてある部分で敬遠しながら、またある部分で横目でみつつ無関心を装いながら、否応無く巻き込まれ、取り囲まれ、気が付いたら、もうそれ無しでは、生活できないようになってしまっている。

何を得て、何を失ったのか。
現在は、どのような状況なのか。
そして、行く末は?

個人の蔵書や論文コピーの整理、あるいは家族のビデオや写真の管理ならば、放りっぱなしでもいいだろう。効率が悪かったり、乱雑で困るのは、自分かせいぜい身内ぐらいだからだ。
しかし、相手は、膨大な税金を投入して、多くの人の労力と時間と熱意をかけて得たデータ群である。
何とかしなければ、ならないだろう。
それも、早急に。
時が経てば経つほど、状況は悪化する。
確実に。


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ホイサッサ

ふとした思いつきや考えを深めるために、資料をあたることがあります。そうしたとき、ネットは便利ですね。「これは探し物っぽいぞ!」というものが、わりと簡単にみつかります。(思わぬ道へそれて行くことも、ままありますが。)でも出版物などは、内容まで公開していないことが多いのが残念です。個人的なことを言えば、あとはがんばれ!(図書館へ行くとか、身体を動かして読みに行く。)ということになりますけど。

しかし折角ですから、検索した資料がネットで読めるにこしたことはありません。より多くの人々に読まれ、また、埋もれて忘れ去られることも少なくなるだろうなと思います。文中に引用文献のあるときなど、クリックひとつでそちらへ飛べたら、なおうれしいです。資料の価値も上がるというものです。
by ホイサッサ (2006-11-04 10:45) 

五十嵐彰

図書館へ行くと、膨大な本や雑誌があり、たとえ興味のありそうなものだけを読んだとしても、そのためには常に本を読んでいなければ追いつかない、いやそれでも一生のうちに読みきれないという思いにかられます。本や雑誌だけですら、そうなのですから、これにネット情報の膨大な過去ログなどを加えれば、もう絶望的です。いかに石の山から目的とする玉を見つけるか、探索能力・嗅覚・選択能力・センスが問われる時代になったということでしょうか。同じようなことは、人と人との出会いにも言えるような気がします。
by 五十嵐彰 (2006-11-04 21:06) 

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