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隣りの芝生 [総論]

用あって、隣接学問(日本文化人類学会)のホームページを覘いてみた。驚いた。その充実ぶりに。うちもこうであったら・・・

まず日本語版とイギリス語版の完全対応。こうでなくては。そして、そのコンテンツ。
*What's NEW: HPデザインをリニューアルした2000年以来の更新履歴
*日本文化人類学会について: 日本文化人類学とは、日本文化人類学会会則(抄)、会長挨拶、役員名簿、学会名称変更について、学会賞、名誉会員、賛助会員、入会案内、入会申込書/再入会申込書、会員証明書、会員調査、各種通信用フォーム
*学会出版事業: 『文化人類学』季刊、編集委員名
*学会出版事業: “Japanese Review of Cultural Anthropology”(JRCA) 年刊、各冊子目次内容
*研究大会: 年1回の研究大会ごとの専用ホームページにリンク。それぞれの専用ホームページに、出張依頼書、PDF版サーキュラー(会場へのアクセス・周辺地図・発表者・題目一覧)
*各地区研究会・シンポジウム情報: 北海道地区から始まって、関東地区・中部地区と全国で開催されている各種研究会・シンポジウムについて、日時・会場・趣旨・プログラム、問い合わせ先が掲載されている。最後に「研究会情報フォーム」がセットされており、ここに必要事項を書き込んで送信するようになっている。
*展示会・展覧会情報: 全国の文化人類学関連の展示会・展覧会の情報
*国際会議情報: 各種開催情報、国際人類学民族学会議、国際会議情報通信フォーム。
*文献情報: 新刊書情報(年別新刊書情報、新刊書情報通信フォーム)、文化人類学・民族学入門書、文化人類学・民族学刊行書(年別の関連書一覧リスト)、会員博士論文データベース(データベース記入フォーム、データベース更新フォーム)、『文化人類学』『民族学研究』データベース(甲南大・静岡大のサイトへリンク)、『社会人類学年報』書誌情報(都立大のサイトへリンク)、インターネット上の定期刊行物。
*公募情報: 教育研究職、海外客員教授・助教授・研究員、研究助成、その他に区分。
*文化人類学・民族学を学ぶには: 全国各地区ごとに専攻設置大学を紹介。情報通信フォーム、文化人類学・民族学入門書(教科書、参考図書、フィールドワーク論、事典)の紹介。
*文化人類学・民族学に関する質問コーナー: 質問用フォームに記入すると、専門の窓口担当研究者が答えてくれる。疑問の調べ方という丁寧な手引きもある。
*学会通信: 理事会議事録(年ごとの理事会議事録、承認・報告・審議の各事項)、評議員会議事録、総会議事録、人類学会世界協議会(WCAA)への加盟について(WCAA設立規約)、各種変更届出フォーム、JASCA-NET(日本文化人類学会メーリングリスト)について(利用について、メンバーになるには、ヘルプファイル)、過去に学会通信に掲載された文書(「ヒト胚性幹細胞を中心としたヒト胚研究に関する基本的考え方(案)(科学技術会議ヒト胚研究小委員会報告案に関する日本民族学会理事会の見解、財団法人日本民族学振興会の解散について、韓国文化人類学会からのメッセージ、ウタリ対策のあり方に関する有識者懇談会報告書についての見解)
*日本を短期訪問中ないし訪問予定の海外研究者: 訪問研究者一覧(訪問者所属、訪問期間、訪問の目的、訪問地、受け入れ機関、講演予定、問い合わせ先)、情報通信フォーム
*ブックマーク: 各種リンクリスト(博物館・研究所、学会、インターネット・リソース、大型研究プロジェクト、助成金・助成団体、その他、文化人類学・民族学・社会人類学を学べる大学・大学院、会員個人ページ)
*English Page

ふぅ~、これらは全て「日本文化人類学会情報化委員会」が一括して管理しており、「日本文化人類学会情報化委員会製作WWWページを利用される方へ」という案内と事務局住所が記されている。そして最後には、「日本文化人類学会はWCAA創設メンバーです」というタグが誇らしげに掲載されている。
通覧して何より感じるのは、その開かれた国際性と広く各種情報を体系的に収集しようという意志(その表れが「各種通信フォーム」の掲載)である。

それに対して、我が「日本考古学協会」のホームページはどうか。

フロントページは、各地の情報、文化財保護、「協会図書の取り扱い及び報告書等の受入れに関し今後のあり方について」、2006年度秋の大会、2007年度総会などの告知である。
*総会・大会: 2006年度愛媛大会へのご案内(研究発表分科会の内容)、第73回(2007年度)総会(研究発表の募集)、過去の総会および大会(研究発表プログラム)
*機関誌: 『日本考古学』バックナンバー目次、機関誌『日本考古学』の原稿募集について、『日本考古学』投稿規定
*刊行物:定期刊行物(『日本考古学年報』『日本考古学』、白書、発表要旨および報告書、既刊刊行物正誤表
*理事会: 理事会記録、倫理綱領
*協会について: 定款全文、「日本考古学協会のあゆみ」、入会案内(新入会員申込み受付から承認までのスケジュールの概要)
*リンク: 学協会、地域団体、都道府県の埋蔵文化財調査機関(埋文センター)、国機関、海外
*各地の情報: 様々な研究集会の紹介とリンク。古い情報が多い。
*文化財保護: 最新情報、埋文委活動、2006年度埋文委要望書、2005年度日考協声明・要望など
*大学講義: 2006年度大学名一覧、2006年度大学講義一覧
*考古学文献目録: 日本考古学協会への最近の寄贈図書一覧、考古学系雑誌の文献(論文)データベース
*前・中期旧石器問題: 前・中期旧石器問題関連文書総覧、前・中期旧石器問題調査研究特別委員会報告、『前・中期旧石器問題の検証』の頒布案内、第70回総会前・中期旧石器問題調査研究特別委員会報告
*聖嶽洞穴遺跡問題: 聖嶽洞穴遺跡問題について、『聖嶽洞窟遺跡検証報告』の刊行について、頒布案内、各調査検討委員会の概要
*携帯: 携帯電話からのアクセス・モード

イギリス語版もあるが、日本語版と完全に対応しているわけではない。省略版である。それもかなり。あるいは構築中なのか。それともこれで完了なのか。
重複している項目も多い。総じて「寄せ集め」という印象である。これでは、あちらとこちらの閲覧者数は、一桁、もしかすると二桁ぐらい違うかもしれない。構成会員数は、こちらがあちらのほぼ2倍だというのに。年会費は、こちらがあちらよりも2000円も高いのに。

ホームページとは、ある意味、その団体や個人の「顔」である。意識しているか、しないかは問わず。しかしある場合には無意識であるが故に、その性格が顕著に表現されてしまう、ということがあるように思われる。

文化人類学(民族学)と考古学の学問的性格の違いが顕著に反映されているとも言いうるだろう。そして何よりも掲載されている情報量そして質、全体構成、バランスの違いが圧倒的である。そこから伺えるのは、学問全体に対するデータの取り組み方、姿勢が全く違うのである。誰に向けて、どのような情報を、どのようにして提示しようとしているのか。
真似をしろと言うのではない。誰がどこの大学でどんな講義をしているのか。こんな情報がどうして必要なのか。内向きのそれもある特定の事柄に関心のある人にしか意味がない情報ではないのか。もっと学会としてなすべき事柄、提示すべき情報があるのではないのか。最新の様々な研究会の活動状況、連絡先、同人誌の一覧リスト、入手方法、最新の発掘情報、研究動向、考古誌刊行状況、国際誌の発行などなど。しかし、そうした事柄は全て個人的努力に委ねたまま、学会として本腰を入れて対処しようとはしない。そして所蔵図書の放出である。

構成員一人一人の意識の違いなのか。
しかし、これが現在の「日本考古学」である。


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コメント 2

アーム

> 所蔵図書の放出

案は「一定の条件を付して、公的施設に一括寄付する。」となっていますね。これは(放出ではなく)市川考古博物館の代わりの公的施設を探しているように思えます。

> 最新の様々な研究会の活動状況、連絡先、同人誌の一覧リスト、入手方法
> 最新の発掘情報、研究動向

最新の情報はまず各団体、各機関の公式サイトで出されるべきだと考えます。もちろん、RSSフィード付きで。
by アーム (2006-09-30 00:38) 

五十嵐彰

アームさん、ようこそ。
自分のところでは、もうやらないよ、というのを「放出」と表現しました。主体的な「文献情報センター」構想は、一体・・・
様々な研究会活動の積み重ねによって、「日本考古学」なるものが形成されていると考えるか、どうかという意味だったのですが・・・
by 五十嵐彰 (2006-09-30 07:55) 

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