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15 存在している不在(3) [近現代考古学]

考古学的行為の創造性(The creativity of the archaeological act):173-174.

欠如の存在化(the presencing of absence)とは、バトラーが言うように「もの」(matter)を作り出すということ、考古学的行為を通じて物質化するということである。
創造的物質化あるいは「もの」作業(creative materialising or 'mattering' works)は、バトラーの言う行為遂行性(performativity)やネルソン=マンデラの歩道やサモラ=マシェルの墜落現場といった「非物質的」記念物('immaterial' monuments)を通じてなされる。
こうした創造的介入(creative intervention)は、「デザイン」され、挑戦し、文字通り現状を再構成させることで、特権的な前提(伝統的な考え方)に対して、社会的にも物質的にも異議申し立てを行う。

21世紀における考古学的作業の社会的重要性と新たな方向性を示唆し、同時代過去の様々な諸考古学が有する新たな倫理観と社会的創造性の側面を示す。
物質化と物質性という「発見」の存在論(an ontology of 'discovery')から離脱して、考古学的な行為はより深められた批判的な学問の実践行為(more critical disciplinary practice)となる。

栄養学的研究、持続可能性、デザイン史、法科学といった周辺領域から、社会的に生き生きとした、そして創造的ないくつもの考古学(socially vital and creative archaeologies)の存在を主張する。言わば「捨てられたもの」('wasted')、学問的境界や階級性の主張を超えて、外側に積み残された試み(practices left outside)を、再び一つにするのだ。

こうした考え方は、「あらゆるものを痕跡として捉える構想力を、「考古学的構想力」(archaeological imagination)と名指しておこう」(佐藤2006「古くて綺麗なもの:美と考古学的構想力(前編)」『もの研通信』第71号)という考え方にも通じるように思われる。

考古学的創造性(archaeological creativity)と考古学的構想力(archaeological imagination)。


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