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寒中見舞2022 [雑]

コロナ禍も2年が経過しました。
こちらよりもあちらの方が上手であるということを、多くの人が何となく感じているのではないでしょうか。
そろそろコロナ以前がどんな風だったかも朧げになりつつあり、ウィズ・コロナがこれからもしばらく続くのではないかと思わざるを得ません。
どうやら歴史の時代区分として
2019年以前と2020年以後で大きく区切られることになりそうです。

自然の脅威に対して人間が出来ることは、ほんの僅かです。
台風やハリケーンの進路を変えることは出来ません。
進路すら、大まかな予想円で示すことしか出来ません。
火山の噴火を防ぐことも出来ません。
ましてや人間が太平洋プレートやフィリピン海プレートの沈み込みを止めることは出来ないので、予想される南海トラフ地震の発生を止めることは出来ません。

出来ることは、そうした破局的な状況が予想される場所(日本列島全体が地震帯です)に制御不能となるような危険な施設を設置しないことです。
設置してしまった施設は、一刻も早く撤去することです。
大地が揺れる度に「原子力発電所に異常はありません」といった知らせを聞かされる状況を終わりにすることです。

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タグ:寒中見舞
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Ertl & Yoshida 2020, 2021 Archaeological craftwork [論文時評]

Ertl, John & Yoshida Yasuyuki 2020, 2021 Archaeological craftwork: ethnography of archaeology at Suwahara site, Hokuto city, Yamanashi 2019, 2020(山梨県北杜市諏訪原遺跡における考古学の民族誌2019, 2020)『慶応義塾大学日吉紀要. 人文科学』第35号:137-170. 第36号:37-76.)

金沢大学で意欲的な試みをされていたコンビの最新作である。
遠くからその作業を見守っていたが、より近くに場を移された。お会いできる時を楽しみにしている。

ただし全文が英文である。海外に向けて発信するには英文が最適である。しかし日本国内に向けて、例えば『考古学ジャーナル』や『縄文時代』といった刊行物に親しんでいる人たちに対しては、筆者たちが意図する内容が届く可能性が日本文と比較して格段に低下するのは否めないだろう。

Ethnography of Archaeological Excavation, Laboratory Analysis, and Site Development と題する科研(基礎研究(B) 文化人類学・民俗学関連)5ヵ年計画(研究期間:2019-2024)の経過報告である。

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吉田2021「世界の趨勢から見た、先住民族の権利保護及び謝罪の理由・意義」 [論文時評]

吉田 邦彦 2021「世界の趨勢から見た、先住民族の権利保護及び謝罪の理由・意義 -民法の観点から(人類学との学際交流を踏まえつつ)-」『北大法学論集』第72巻 第1号:1-48.

本稿は、2020年6月26日開催「北大遺骨返還謝罪要求教員有志勉強会」および7月11日開催「先住民族問題研究会」における報告に基づく。

「北大は、琴似コタンのアイヌを駆逐して、同大学ができていることを記そうとしない。しかもアイヌ遺骨盗掘について、謝罪しようとしない。これに対して、今アメリカ合衆国の著名大学で、奴隷制との関わりで(広い意味での)補償がなされているのと、対照的である(少なくとも、過去の奴隷制との関わりの不正義の事実を明らかにし、関係者の名前を削除したり、紋章を変えたり、さらには、関係者(子弟)に「優遇措置」(affirmative action)を行うなど)。「教育機関」として、どうしてこれを機に新たな動きを起こさないのか。何故、過去の不正義に未だ目をつぶろうとするのか、ここでは批判的に考えてみたい。」(7.)

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小松ほか2013「痕跡学序説」 [論文時評]

小松 研治・小郷 直言・林 良平2013「痕跡学序説 -痕跡を読み、痕跡に語らせる-」『富山大学 芸術文化学部紀要』第7巻:70-85.

「…今から取り組もうとしている課題は「人を内面(だけ)で判断してはいけない」という論旨を主張する。つまり、「人を「行動の結果」から考察してみようとするアプローチである。もう少し具体的に言えば、人が行動した結果としてしばしば残す痕跡に注目し、その痕跡ができる理由を探ろうとする試みである。」(70.)

研究対象が人の「行動の結果」でしかない考古学は、すなわち痕跡学である。むしろ痕跡学であらざるを得ないのは、当然と言えば当然であろう。
だから「行動考古学」などというジャンルも提唱されてきたのである。
そして外面(行動の結果としての痕跡)から何とか人間の内面にまで至れないかと苦闘している訳である。

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