SSブログ

野田1998『戦争と罪責』 [全方位書評]

野田 正彰 1998『戦争と罪責』岩波書店

「いつしか私は、侵略戦争を直視せず、どのような戦争犯罪を重ねたかを検証せず、否認と忘却によって処理しようとする身構えが、いかに私たちの文化を貧しくしてきたか、考察してみたいと思うようになっていた。それも、罪の自覚と共に戦後を生きてきた少数者の精神を通して、多数者の影を浮き上がらせたいと考えたのである。」(11.)

「…戦争にかかわった日本人の罪の意識を掘りおこし、その分析を精緻に行うことによって、私たちは二十世紀の意味をアジアの人々に伝えられる。今なお残された罪の意識こそは、私たちの貴重な文化であり、罪の意識を抑圧してきた日本文化のあり方を通して、私たちは自分の内面の顔を知ることができる。」(13.)

何度読んでも、その度に新たな気付きを得ることができる稀有な本である。
それは、本書が真理の一端に触れているからだろう。

続きを読む


nice!(2)  コメント(2) 
共通テーマ:学問