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四面楚歌 [総論]


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コロナ禍の最中、自らを取り巻く現状を概観してみた。

きっかけは、懸案の課題について昨年の半ばに相次いで公表したことであった。
旧石器については、2019年6月に大正大学で開催された日本旧石器学会のシンポジウムで「砂川モデルの教訓」と副題して発表した。
縄紋については、『考古学ジャーナル』728号(6月刊行の7月号)において「緑川東を読み解くために」と副題した文章を書いた。
一方は旧石器資料の製作・搬入に関わる問題、一方は縄紋時代の敷石遺構から見出された大形石棒の設置時間の問題と一見すると隔たりのあるテーマのようだが、考古資料の読み取り方という点で第2考古学的には極めて重要な同じ構図の問題群である。

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松島2018『琉球 奪われた骨』 [全方位書評]

松島 泰勝 2018 『琉球 奪われた骨 -遺骨に刻まれた植民地主義-』岩波書店

「本書の目的は次の通りである。
(1) 日本の琉球への植民地主義の歴史や日本の帝国主義について、琉球人遺骨を通じて論じる。
(2) 琉球人遺骨問題は、世界の先住民族が直面し、解決してきた世界的な問題であることを明らかにする。本書では、遺骨返還運動を先住民族による自己決定権行使運動として位置付ける。
(3) 京大は現在にいたるまで、私や新聞各社からの本件に関する問い合せを一切拒否している。つまり私を、対話可能な同じ人間として見なしていないのである。本書によって先住民族の遺骨問題に対する関心を高め、私が批判した研究者、大学、博物館等からの反論や応答を期待したい。学問や研究は、議論を通じて深めることができる。対等な人間としての関係性を、本書によって築きたい。」(vi-vii.)

2020年2月27日には、「琉球遺骨返還請求訴訟」において、「学知の植民主義」と題して著者による意見陳述がなされたようである。残念ながら、京都大学はいまだに著者を「対話可能な同じ人間として見なしていない」ようである。

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