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あるべき<もの>をあるべき<場>へ [研究集会]

    <関西学院大学 韓国学研究センター 国際学術セミナー>
あるべき<もの>をあるべき<場>へ -文化財返還運動を通じて文化財の本当の価値を考える-(五十嵐)

日時:2023年 4月 25日(火)15:10~16:50
場所:関西学院大学 西宮上ヶ原キャンパス B号館302号教室

1.最近の海外動向
2.小倉コレクション
3.戦利品の区分
4.戦利品A:鎮遠、八紘之基柱…
5.戦利品B:三学寺石獅子、鴻臚井碑…
6.<もの>の価値
7.<ひと>・<もの>・<場>
8.眼差しの変容
9.現在の植民地主義
10. 負の遺産としての瑕疵文化財
11. そして総体的な文化財理解へ

最寄駅である阪急今津線の甲東園駅からぞろぞろ歩く学生たちについていく。昼食を食べながら関係者と懇談の後に、ヴォーリズが設計したスペイン風赤瓦とクリーム色外壁で統一されたスパニッシュ・ミッション・スタイルのキャンパスを歩く。

会場の教室では、受講している学生たちに交じって外部からの参加者もチラホラ。
導入はウクライナ・ヘルソンの歴史博物館の惨状であるが、若い学生たちにとっては東博の小倉コレクションも、明成皇后殺害事件も、北洋艦隊の鎮遠も、宮崎の八紘之基柱も、皇居の鴻臚井碑も、鎌倉の観月堂も、初めて聞くことばかりだろう。自らを省みても学生の頃はもとより最近になって知ったことがいかに多いか。
それでも、こうしたことをきっかけに博物館の展示品や庭園の石造物に、帝国日本の傷跡が深く鋭く記されていることを、少しでも理解してくれれば嬉しい限りである。

今回の講演会に招いて頂いた関西学院大学韓国学研究センターを統括されている方の所属は人間福祉学部で専攻は社会学ということになっているが、民族学や災害復興から文化遺産研究、日本近世思想、哲学カフェ、論語教室に至るまで幅広い研究活動をされている。

私との接点は、10年ほど前に<遺跡>問題について、「遺跡化」(山2009)および「遺跡社会学」(山2013)と問題意識を共有する論考に接したことを起因とする。
また伏線としては戦時期の学史に関しては第一人者である韓国人研究者の訳者としても、潜在的に意識されていた(全2005全2013)。
しかし文化財返還を主題とする招きについては全くの想定外で、ある共通の知人を通じて細い糸が繋がったというのが実情である。

どのような方法であろうと、あるいはどのような方角からであろうと、突き詰めていくと、同じような場所に至っていて、その時は思いもしなかった出会いが、実は必然だったのだと後で思わされるようなことがあるのだという思いを抱いている。


タグ:文化財返還
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