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日中の草の根運動で中国文化財返還を実現しよう! [研究集会]

日中の草の根運動で中国文化財返還運動を実現しよう!
日時:2022年 11月 19日(土)13:10~17:00
場所:港区立産業振興センター ホール大(札ノ辻スクエア11階 JR田町駅下車徒歩4分)
主催:中国文化財返還運動を進める会

中国文化財返還運動を進める会 第2回 研究集会である。

【プログラム】
開会あいさつ:鄧 捷
活動報告:藤田 高景
講演1:「日中戦争とウクライナ戦争から学ぶもの -軍拡・改憲・さらなる戦争を許さないために-」山田 朗
講演2:「モノが語る歴史の捏造と瑕疵文化財」東海林 次男
中国からの報告1:「なぜ中国は海外流出文化財の返還を追究するか?」陳 文平
中国からの報告2:「中国人一人一人の夢」王 仁富
中国からの報告3:「返還運動報告 -我々は中国略奪文化財返還を推進する歴史的な契機に立っている-」童 増
関西からのアピール:大阪城狛犬会
閉会あいさつ:五十嵐 彰

「日本民間組織の「中国文化財返還運動を進める会」が成立してから、日本の皇室と靖国神社、山県有朋記念館に返還を呼びかけた中国の文化財には、まず唐鴻臚井碑と遼寧省海城市三学寺から略奪した石獅子3体であり、これら文化財も中国の学者と民間人が返還目標に定めた対象である。
中日両国の民間組織が連携の形で中国文化財返還運動を推進していることは、中日文化交流が正しい方向に向いていることを反映する。流失文化財返還運動は文明発展の象徴として、かけがえのない意義がある。
両国の人士は、様々なルートを積極的に模索し、日本が略奪した中国文化財の返還を促進するため、訴訟以外に解決の仕組みで返還の可能性を実現させ(る)ように努力して、中日両国政府間の協議と交渉に土台を造る。
われわれは、中国政府が各民族の文化を尊重することや、国の文化遺産である文化財を保護することに基づき、海外の流出文化財の返還を求めることに理由が十分にあると考えている。
中国の政府と国民は海外流出文化財の返還要求をこれまでに放棄したことがなく、これは中国人民が中華民族の歴史・文化遺産に対する尊重、熱愛、保護する願いが現れたものである。
中国国民にとって、海外に流出している貴重な文化財は、過去、現在、そして将来を問わず、心の痛みである。われわれは海外流出文化財が一日も早く故国に戻ることを切に待ち望んでおり、これも幾千万の中国人の熱望である。」(陳 文平(上海大学海外文物研究センター)「なぜ中国は海外流出文化財の返還を追究するか?」(会場配布資料:5-6.)

「私は、唐鴻臚井碑の碑文に読み誤りを発見して、唐鴻臚井碑に含まれている歴史分野、冊封の行為、文学分野での美しさを発見し、この国宝・唐鴻臚井碑の研究と返還運動の決意を固めました。この体験から、世界中には美しさが欠けているのではなく、その美しさを発見する力が欠けていると思います。
私は、1994年2月15日、唐鴻臚井碑について、次の様な詩を書いて、国内外の中国人の胸の奥に、旅順にあった国宝・唐鴻臚井碑の帰還を呼びかけました。
毎日の夕日は、待ち焦がれる眼
毎回の佳節は、暗然と落ち込む心
秋雨が降る日に、涙で衣をうるおし
春風が吹く度に、また希望が蘇る」(王 仁富(中華唐鴻臚井刻石研究会)「中国人一人一人の夢」(会場配布資料:1-2.)

「「中国文化財返還運動を進める会」の設立は、中国で大きな反響を呼び、中国の官営メディアや自営メディアなどによって広く報道された。その中で最も重要なのは、中国国民の心に日本人への従来の「戦争悪魔」のイメージを大きく変えたことである。コメント欄には、中国人が好意的なコメントをしてくれる一方だった。特に五十嵐彰教授の発言に「日本人を主体にし自らの意志で返すことが、正確な道だ」という言葉に、中国国民は強い印象を残した。そのため、私は「中国文化財返還運動を進める会」の設立を第3段階と定義したい。この民間団体の発足が、その後の中日民間人の団結連携に土台を築いたからである。」(童 増(中国民間対日賠償請求連合会)「我々は中国略奪文化財返還を推進する歴史的な契機に立っている」(会場配布資料:3.)

どうも一部に誤った情報が伝わっているようである。

対面でも国際研究集会の開催は、何かと困難がつきものである。
ましてや今回はオンラインによる初めての国際研究集会である。
一人目の陳さんの発表は問題なかったが、二人目の王さんの発表がうまくいかずにやや手間取った。向こうからの画像がこちらのスクリーンにうまく投影されず、悪戦苦闘した結果、個人のスマホ画像を会場カメラで映写しながらの発表という私も初めて見る光景となった。

それでも上海・北京と東京でリアルタイムで交流することができるなど10年前には夢のようなことが現実となっている訳で、これからさらにスムーズな交流が実現していくことだろう。
こうしたトラブルのためにその後のプログラム・スケジュールが大変厳しくなり、私の閉会あいさつも当初の10分から3分ほどに短縮せざるを得なかった。

以下に話す予定にしていて省略した内容を記しておこう。

「私たちの当面の課題は、皇居にある鴻臚井碑と靖国神社・山県有朋記念館にある石獅子の返還です。
返還に至る前提として、前者(鴻臚井碑)と後者(石獅子)の共通点と相違点を考えてみましょう。
まず共通点は、両者ともに天皇に献上された「献上品」であるということです。
対外戦争に伴って様々な「戦利品」が獲得されましたが、その中でも最上品(ベスト・オブ・ベスト)が献上されました。
鴻臚井碑は、献上されたまま現在に至るまで皇居に置かれています。それに対して石獅子3点のうち1対2点は靖国神社に、1点は山県有朋に「下賜」されました。
そのため、鴻臚井碑は現在も「国有物」であるのに対して、石獅子はいずれも「私有物」です。
「国有物」は私個人の所有ではありません。天皇個人の所有物でもありません。「日本国」という社会構成体の所有のはずです。「日本国」の主権者は、「日本国民」です。ということは「国有物」は「日本国民」全体の所有物のはずです。しかしその「日本国民」全体の所有物、言い換えれば「公共財」である文化財が、所有者であるはずの「日本国民」が見ることのできない状態に置かれているというのは、おかしくないでしょうか?
現在、鴻臚井碑を見ることができるのは、天皇一族および限られた関係者のみです。
まずは「国有物」である鴻臚井碑を「日本国民」の誰もが見ることができるような環境にすることが必要です。
その方策として考えられるのは、鴻臚井碑を宮内庁が管理して公開されている場所、例えば「三の丸 尚蔵館」の敷地に移設することです。
これならば必要となるのは、移設費用の捻出だけです。簡単な政治判断で可能な作業です。
こうしたことがなされて初めて鴻臚井碑と石獅子は返還に向けて同じ出発点に立つことができるのではないでしょうか。」


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