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2018 寒中見舞 [雑]

「チェルノブイリの事故のあと、「放射能を含んだ雨」が日本にも降った。科学者たちは、危険なほどの放射能は出なかったと言ったが、私にもちょっと言わせてほしい。科学者たちは、そんなことは知ってはいないのだ。推測しているに過ぎない。そして科学者たちは、同じような事故は日本では決して起こらないと言うが、それも知った上で言っているわけではない。起こらないことを希望しているに過ぎない。絶対に故障しない機械など、誰にも作れない。うまく行っても、たまにしか故障しない機械を作るのが関の山だろう。」(ダグラス・ラミス1988(1986)「原子力の雨(Atomic Rain)」『最後のタヌキ』晶文社)

 

この文章が発表されたのは、チェルノブイリの事故から3ヶ月後の1986年のことです。しかしそれから25年後に決して起こらないはずのことが起きてしまいました。多くの人は、こうした警句を聞き逃してきたのです。

地震のニュースを聞きながら仕事仲間が発した「ゲンパツ大丈夫かな…」という不安そうな呟きを、連鎖する爆発に引き続き各地の放射性濃度を伝えるニュースを聞きながらもう二度と心から深呼吸できないのだと心塞がる思いで見上げたあの空の青さを忘れることはないでしょう。

融け落ちたデブリを取り出して廃炉が完了するまでは、日本という国家はある意味で「非常事態」です。そのことも決して忘れることがないようにしたいと思います。

「平和」というのは、ある意味で「健康」と似ているようです。何も起こらなければ、そのような状態の有難さに気づくこともありません。しかしひとたび、体のどこかに耐えられない痛みがあったり、全身に倦怠感を覚えるようになれば、何も感じなかった「あの穏やかな日々」がとてもいとおしくなります。

一日一日の日々を大切に過ごしたいと思います。

本年も宜しくお願い致します。

 

「神の国は、見える形では来ない。『ここにある』『あそこにある』と言えるものでもない。実に、神の国はあなたがたの間にあるのだ。」(ルカ書172021


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