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第10回 宣言記念日(日本考古学協会2015) [雑]

本ブログも一つの節目を迎えた。
10年の間には、いろいろなことがあった。
そんなことごとについても、ボチボチ回顧していく時期なのかも知れない。
10年経って、何が変わって、何が変わっていないのか。

「…その他の案件として田中和彦理事から文化財に関する諸問題検討会報告の発議があり、議長はこれを認め説明を求めた。田中理事から、一昨年の総会で会員から海外から日本に持ち込まれた文化財の問題について質問があり、文化財を広い視野で捉えて検討する「文化財に関する諸問題検討会」を立ち上げたことが報告された。」(日本考古学協会2015「一般社団法人日本考古学協会第81回(2015年度)総会(抄録)」『日本考古学協会会報』第185号:6.)

「文化財に関する諸問題検討会」では、具体的にどのような「諸問題」をどのように「検討」するのだろうか? 
どのようなスケジュールで「検討会」を開催し、検討した結果はどのような形でいつ公表されるのだろうか? 
2015年度の事業計画に、「文化財に関する諸問題検討会」の影も形も見当たらないのだが、大丈夫だろうか?
そして、「有志」とされるその構成メンバーは?
文化財返還問題は「国政レベルでの事案」だから扱わないとした2年前の自らの判断と今回の「諸問題検討会」立ち上げとの整合性について、理事会は会員にどのように説明するのだろうか? 

「報告第373号 文化財に関する諸問題検討会報告
田中理事から、文化財の流出入について、有志で情報収集の勉強会を開催し、海外の状況等について詳しい会員から話を伺った。また、本年度の活動予定について検討したことが報告され、了承した。」(日本考古学協会2015「4月理事会議事録」『日本考古学協会会報』第185号:69.)

「議案第262号「大学が保管するアイヌ遺骨の返還に向けた手続き等に関する調査研究」の意見表明について
佐藤理事から、文部科学省学術機関課より、象徴空間に建設が予定されている慰霊施設におけるアイヌ人骨等の保管・管理に関する意見を求められたことが説明された。要請から提出までの期間が短かったためメールで審議を行い、主に副葬品及びそれに関連する物質資料について、適切な条件の基に保管・管理の設備を整える必要がある意見を表明したことが説明され、承認した。」(同:67-8.)

学会組織としてなされた「意見表明」について、いくら「要請から提出までの期間が短かった」とはいえ、公表された内容が会員に開示されないというのはなぜなのだろうか?
「適切な条件の基に保管・管理の設備を整える必要がある」などという当たり前のことを、なぜことさら表明する必要があるのだろうか?
もし「不適切な条件の基に保管・管理されている」場合があれば、そのことを問題とするべきである。
そもそも日本考古学協会理事会は、たとえその「副葬品およびそれに関連する物質資料」が不適切な手段によって入手されたことが明らかな場合でも、現状で適切な条件の基に保管・管理されていれば何ら問題がないと考えているのだろうか?
こうしたアイヌ民族の副葬品を巡る返還問題について、「文化財に関する諸問題検討会」ではどのような検討がなされた(なされる)のだろうか?
こうした事柄について、日本考古学協会会員は理事会が「了承」したり「承認」したりするのを、ただ見守るしかないのだろうか?
こうした事柄について知りうるのは選出された少数の理事のみで十分であり、大多数の会員や一般社会に知らせる必要はないのだろうか?

日本考古学協会において「説明責任」が欠落していると感じるのは、私だけだろうか?

【10年目のデータ: 2015年8月24日】
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