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日本考古学協会図書収集・受入れ停止文書問題 [雑]

「東京都の五十嵐彰会員から、協会からの「寄贈停止」文書の送付数と、これまで受贈した全ての機関に出したのか、という質問があった。
石川理事から、2010年度に送付されてきた機関にのみ通知し120~130件程度だと回答があった。さらに五十嵐会員から、海外の機関にも出したのかという質問に対し、石川理事が、現在準備中で出していない、と回答した。続けて五十嵐会員から、海外との交流が途絶えるのは国際交流という観点から問題がある、という意見があった。」(「日本考古学協会第77回総会抄録」『日本考古学協会会報』No.173:6.)

「準備中」であった作業(海外寄贈先研究機関への寄贈停止の事務連絡文書の発送)は、半年が経過した現時点において実行に移されたのか、それとも「準備中」の作業は「準備中」のまま何らかの要因によって中断・停止しているのか、それとも「準備中」の作業そのものが何らかの要因によって取りやめになったのか、公開されている情報からは一切窺い知ることができない【2011-06-02】参照。

また「国際交流という観点から問題がある」と5月28日に指摘したにも関わらず、1ヶ月後の7月2日に開催された「国際交流委員会」において本件が討議された痕跡を見いだすことができない。そこでなされたのは、1)委員長・副委員長の選出 2)協会ウェブサイトに掲載する英文紹介遺跡の選出 3)アジア歴史・社会科教科書分析に関する刊行計画 4)アジア考古学四学会合同公開講演会および東アジア考古学会の開催了承 のみである(「7月理事会議事録 報告第116号 国際交流委員会報告」『日本考古学協会会報』No.174:43.)。

少々大げさに言えば、本件は日本考古学協会が海外の考古学研究組織との連携・友好関係を自ら断ち切り、今後は「鎖国体制」を選択するのかどうか、すなわち「国際交流委員会」の存在意義に関わる問題である。
そうした問題提起に対する、こうした無反応・黙殺・無関心という感性とはいったい・・・ 

「大塚委員から、文書を送付した各機関に対して、協会としては図書問題について現在検討中であるから、問題解決が図られるまで図書を保管・確保してもらう措置を改めて依頼したらどうか、という意見があった。
泉委員長からこのことは記録に残し、送付する文書の内容について事務局で検討して欲しいとの指示があった。」(「第1回協会図書に係る特別委員会議事録」『会報』No.174:18.)

「泉委員長が、以上のことをまとめ、図書の収集・受入れ停止文書の問題は、本委員会としては継続して収集すべきと考えるが、理事会で検討してもらいたいと述べた。」(第2回協会図書に係る特別委員会議事録」『会報』No.174:21.)

7月23日に開催された第1回の特別委員会では「事務局」に対して、9月10日に開催された第2回の特別委員会では「理事会」に対して「検討」が要請された訳である。
それに対する9月24日開催の理事会の応答。

「g) 協会から図書送付機関への寄贈停止文書の件については、理事会での再考が要請されたとの報告があった。2-gについては、第72回(2006年度)総会から第76回(2009年度)総会までの総会(抄録)資料が提示され、事実関係を確認した結果、総会の議決事項としては、基本的には図書の寄贈は受けないということであることを、再確認した。」(「9月理事会議事録 報告第125号 協会図書に係る特別委員会報告」『会報』No.174:46.)

「基本的」という意味が問題である。
何れにせよ、本問題に関する議論は紆余曲折というか一向に前進を見せていないことは確かである。
そして理事会に「要請」されているのは「再考」であり、「検討」と「確認」とでは全く意味合いが異なる、というのが私の意見である。

「この委員会は、総会に諮る原案作成に責任があり、そのための調査はこの委員会が行う。一方、寄贈先機関との交渉などや決定に係わる部分は理事会と調整し、協会全体として判断することを確認した。議決機関は総会であって提案権は理事会にある。特別委員会の検討結果は会長に報告し、理事会はこれに基づいて提案することになる。」(「第2回 協会図書に係る特別委員会議事録 (2)受け入れ機関との交渉における、理事会と特別委員会の役割について」『会報』No.174:20.)

そもそも「特別委員会の検討結果」は、「継続して収集すべきと考える」なのである。
ならば理事会は様々な事柄を「確認」したうえで、「これ(継続して収集すべきという検討結果)に基づいて(議決機関である総会に)提案することになる」のではないのか。


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