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<遺跡>問題(その2) [遺跡問題]

日本における<遺跡>イメージの現状を確認しておこう。

「遺跡には感動がある」。これが本企画のキーワードです。あらためていうまでもなく、専門の研究者にとっては遺跡の発掘こそ考古学の基礎をなす基本的な手段です。また、はじめて考古学を学ぶ若い学生や一般の人びとにとって「遺跡は教室」です。 
『シリーズ「遺跡を学ぶ」』新泉社「刊行にあたって」監修戸沢充則
日本列島の各地に数多く残された遺跡。遺跡は文字・記録だけでは知ることができない歴史を豊かに物語ります。ゆるぎない、確かな、日本の歴史そのものです。遺跡はその地に生きた人びとの足跡でもあります。地域の個性をあらわすシンボルなのです。 
『シリーズ日本の遺跡』同成社「企画・監修にあたって」坂井秀弥
考古学は遺跡を知ることから出発する。 
『シリーズ日本の遺跡』同成社「推薦のことば」小林達雄
考古学にとって研究の基底を構成している遺跡は、「過去と未来を結ぶ玉手箱」でもある。 
『シリーズ日本の遺跡』同成社「推薦のことば」坂詰秀一

「ゆるぎない、確かな、日本の歴史そのもの」は、「考古学にとって研究の基底を構成して」いて、考古学は「遺跡を知ることから出発する。」 本当にそうなのだろうか? 考古学者は、自らの「研究の基底」を果たして確実にそして正確に把握しているのだろうか? 「ゆるぎない、確かな」と思われているものが、実は現場の最先端、考古学の実践の場では、揺らいでいるのではないか? 「確か」と思っているのは、一部の研究者だけであり、そうしたイメージを基にして作り上げた「感動」を、勝手に一般大衆に発信しているだけなのではないか? こうした様々な疑問を心に抱きつつ、これから少しずつ、<遺跡>問題という巨大な相手に接近していこうと思う。

 


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